チャンス

1/6
前へ
/161ページ
次へ

チャンス

次の日は午前中時間があったので、海の顔を見に託児所に行った。 少し卑怯な手ではあったが、これで1か月と少し、水菜は会社に来るから時間の猶予が出来た。 側にいたら誤解を解くチャンスもあるし話が出来る。 会社に来ている間に帰って来て欲しいと説得するつもりでいた。 水菜が家を出て行って5日程しか経っていないのに、水菜がいないとぽっかり穴が空いた気分になっていて、明日が待ち遠しくて真は仕方がなかった。 「かーい!お父さんは頑張るからな?空と真夏に会ったらお父さんの事を話してくれよ?」 空は笑うと水菜に似ていて、真夏は女の子だからか最近は水菜のミニチュアみたいでどちらも可愛い。 自分に似た子が生まれたら可愛くないのかな?などと考えていたが要らぬ心配で、三番目の息子の海は真の小さい頃に瓜二つ。 しかし可愛さは上の二人と変わらなかった。 水菜が言った……。 ーー「見て?真に似てるわ。真の成長は見られないけど、見てる気分になるわね?凄く嬉しい。」 産まれた後、本当に嬉しそうにそう言ったのだ。 (…なのに…離婚?絶対!阻止!!) 真は目の前の海に誓った。
/161ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2100人が本棚に入れています
本棚に追加