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ランチから戻ると水菜はまず倉田に声を掛けた。
「社長、午後は16時から外予定だけだったわよね?」
「はい。変更ないです。」
笑顔で倉田は答えて、お昼にランチのお誘いがありましたよ、と付け足した。
「そう。仕様変更らしいの。今から説明に行ってくる。ご機嫌悪くなるかもしれないから佐藤さんには上に来させない様にしてくれる?」
「分かりました。呼ばれたら私が対応します。」
「ありがとう、よろしくね。」
新人に機嫌の悪い社長の相手はきついと考えて、倉田と打ち合わせて階段を上がった。
「失礼します。」
真は無言でキーボードを叩いていた。
静かに歩いて前まで行き、少し待ち様子を見る。
数分経つと、
「なんだ?」
と言われた。
大きく深呼吸し話を切り出した。
「サードのアプリの件です。担当者から仕様変更があると言われました。説明をしたいのでお時間を戴きたいのです。」
水菜が言うと、真はきつい顔を向ける。
「仕様変更?一か月も経ってか!」
「…はい。申し訳ありません。」
「何で水菜が謝る?」
「窓口ですから…。」
予想以上に怒っている真に戸惑いながら、おかしいと思いながら水菜は答えた。
「半分以上出来てる。今から再度やるのか?」
「申し訳ありません。ですからその説明を…。」
水菜の言葉を途中で止める。
「頼まれたのか?あいつに…。俺に直接話しても聞いてもらえないからお願いしますって!可愛いとか綺麗とか言われて調子に乗って引き受けたのか?」
(仕事中なのに笑顔で……引き受けたのか…。)
言いたい言葉を飲み込んだ。
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