笑顔

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ドアの音がして誰かが入って来て、水菜は慌てて顔を洗う。 「あれ?水菜、お疲れ様。」 入って来たのは梨香だと声で気付くが水菜には顔を向ける事が出来ず、タオルで慌てて拭いていた。梨香は梨香で水菜の様子に気付いた。 「水菜?大丈夫?震えてるじゃない。」 肩を抱き寄せ、摩る。 「水菜?真に言おう?今まで言わないでって言われたから言わないでいたけど…もうこれ以上見てられないよ。だって原因は真じゃない!」 梨香に言われて水菜は首を振った。 「アプリ大変なの。心配させたくない。真は悪くない…分かってるの。あれは寝惚けてただけの事故で故意じゃない。分かっているけど私の頭の中で…二人の続きがある。それが辛いの。これは真の所為じゃないわ。」 「……それなら薬をもらおう?」 静かにその言葉にも水菜は首を振った。 「……真に言わないでね?万が一って事がある。真夏の妊娠の時を覚えてる?」 水菜に言われて梨香は当然、と答えた。 「覚えてるに決まってるわ。幸人の浮気も確かになった事件だもの。」 怒りながら話す梨香に苦笑しながら水菜は続けた。 「少し前、家出したでしょ?」 「うん。」 「あの時ね…仲直りでね…。」 と言い難そうに話す。 「えっ?四人目って事?」 「いや…まだ、そこまでは。ショックな事があって来てないだけかもしれないの。まだ病院には行ってないし…ただ、あの時ね、真…避妊してなかったと思うの。真夏の時、お酒飲んでて後悔したからもう…万が一でもお腹の子を苦しめる事はしたくないの。それに…今の状況で真にも言いたくない。もう少しして来なかったら病院に行くわ。ただの考えすぎで遅れているだけかもしれないから…。」 流石に最後になると思う…と水菜は言い、青い顔で微笑んだ。
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