会わせて。

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「俺と話したい?直に?」 不機嫌オーラで真が言った。 朝一のミーティングはアメリカ窓口になっている沢田マリンと、この契約を勧めたい副社長の立花幸人の三人で社長室で朝早く行われていた。 「契約内容は副社長に確認の上、話をしていて…相手との妥協点を探りながら互いに納得出来るとこまで来てるわ。G,forestの社長はうちの社長と直に話をしたい、その上での契約を望んでいるの。」 「英語嫌いだし、朝早いのも嫌だし、最初から断ろうと思ってたし?」 不機嫌そうに真が言うと幸人が口を挟む。 「真!システム管理、一つ減っただろ?あれは固定収入だったんだ。突発的な仕事をこなしていても結果、自転車操業になる。固定収入は会社を安定させるんだ。今のままでもいけるけど、もう一つ減ったら危ない。その前に予防として固定収入を増やしておきたい。システムを作った後、うちで管理を任せてくれる。これは良い仕事だよ?」 「分かるけど…時差は?16時間か?」 不機嫌そうに聞く。 「13時間…場所はニューヨーク、イースタンタイムゾーンだから…。」 口元に指を置いて可愛らしく沢田が答える。 アメリカは縦に四つに分けて、サマータイムなどタイムゾーンを作っている。 「まぁ、どうでもいいや…いつ?」 その声に幸人も先ずは安堵のため息を漏らす。 「これから相手と決めるって。まずは真に聞かないとだからね?」 「分かった。内容はこれでいい。幸人、決まったらチーム作って。高橋は退けろよ?」 「分かってる。真をリーダーにしてサブリーダーに茂野にしようと考えてる。あ、沢田さん、眠いよね。お疲れ様。社長同士の話し合い日時、向こうと決めておいてね。」 二人のやり取りを聞いていた沢田は横で小さな欠伸をした。 それを見た幸人が帰る様に促す。 「分かりました。お先に失礼します。」 コツコツと12センチのヒールの音をさせて、沢田が社長室を出て行くと幸人はそれを見て真に向かい言う。 「……より…戻った?」 「戻るか!!」 「へぇ……その割には安定しているよね?腰の辺り…。」 「…お前は助平か?」 「いや、そういう目ではなくてもさ?男を誘惑する動きだよなぁって思って…。いつもああなら誘惑されているのは真って事になるんだけど?」 ちらっと座っている真の顔を見た。
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