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あれっぽっちで…と真は心の中で思いながらキーボードを叩く。
親の仇みたいにバンバンと叩く。
あれっぽっち……本当に大した事ではない。
ちょっとしたアクシデントがあり、その後の売り言葉に買い言葉で思わず出て行けと言ってしまった。
ここで引かないのが水菜であると言葉を出してから直ぐに後悔したが、ごめん、悪かった…出て行くな!の一言が言えず、水菜が出て行くのを止められなかった。
子供が3人も居て、水菜が置いて出て行くとは考えていなくて全員連れて行くのも大変だと知っていて、一人で出て行っても子供一人を連れて行っても残った子がいれば頭が冷えたら戻って来るし、置いたまま出て行かないとタカを括っていた。
意地を張り仕事部屋に籠っている間に、静かに水菜の姿は消えていた。
子供3人連れて……綺麗に…。
2か月ほど前に夫婦喧嘩があって、その時は水菜と取引担当の男性の仲の良さに嫉妬して、水菜が家を出て行った。
子供3人を連れてホテルに泊まっていた。
迎えに行き謝って帰ってもらったが、昨夜、そのホテルには泊まっていなかった。
「あれっぽっちで……。」
キーボードをバンバン叩いた。
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