お父さんのばか。

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「真夏は父親に会うのは久し振りですから、海はまだ一歳前なので連れて行きます。」 沢田の前まで歩み寄り、少し強引に海を取り上げる。 驚いた海が泣き出すが水菜はそれを気にしない。 「おい、水菜…泣いてるじゃないか。」 口を出した真にもきつい眼差しを向ける。 「空と真夏、お願いします。約束は果たしました。終わったら迎えに来ますからメールして下さい。空、真夏、お父さんと仲良くね?」 「お母さんもいくよね?」 「ごめん、忙しいの。真夏お願いね、空。」 「え?水菜?本当に?今日は家族でって……。水菜!」 真が止めるのも聞かずに、海を抱いて水菜は部屋を出て行った。 「俺一人で二人……せっかく予約したのに…。」 真が呟き肩を落とした。 「ねぇ?予約したなら代わりに私行こうか?暇よ?」 横で沢田が言うと真は冗談だろ、と呟く。 「だってぇ…大人二人で予約でしょ?子供二人連れてじゃ大変だし、お子さんだって楽しみにしてた訳でしょ?行かないのは可哀想じゃない?お母さんの気まぐれでキャンセルなんて……。」 「そういう言い方止めてくれ。水菜は気まぐれとか起こす奴じゃない。本当に大事な用事があったんだよ。真面目だから…。」 少し怒った様に真が言うと、沢田も誤魔化す様に笑う。 「そうね?でも子供達可哀想よ?どうするの?」 言われて真が考え込むと、足元で声がした。
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