依存

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依存

エレベーターを降りて、海を抱いて肩に大きな鞄を掛けて、ベビーカーを片手で押しながらフラフラと歩いて、大きな窓の前の一番奥の端のベンチに腰を下ろした。 休日だからテレビは消されていて人も居なかった。 このマンションに住んでいる人が散歩を兼ねて来たりもするが、日曜だからか静かだった。 水菜は普段からお弁当を食べに来るフリーフロアでエレベーターを降りて、小刻みに身体を震わせながらさっきの情景を思い返していた。 (真夏…大丈夫かな?) 真ではなく自分似ているから、あの人に虐められないかと不安になった。 それでももし真が実はあの人が好きで、それを再会してから再確認して水菜を要らないと言ったら…子供達を引き取ると言ったら…あの光景が多分、未来の姿なのだと思えた。 自分の代わりに子供達の母になる。 海も置いてくるべきだったか? 全員を強引にでも連れて帰るべきだったか? 震えながら子供達の事ばかりを考えた。 考えていたら涙が出て来て祈る様に呟く。 「真……真、お願い。私はもういい。もう…守ってくれなくていい。だから…だからお願い。相手が誰でも…子供達を守って…。」 涙を海が触る。 腕の中の海に謝っていると遠く声が聴こえた。 「お母さん!!」 「水菜!」 振り返ると真が子供達を連れて走り寄って来ていた。
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