依存

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「情けなくあるか!」 大きな声を出して言い、水菜を抱きしめた。 間にいる真夏が狭そうだった。 「情けなくあるもんか!それでいいんだよ!依存?上等じゃないか!甘えて良いし依存して良いんだよ!夫婦なんだから!俺みたいにヤキモチ妬いて怒って良いんだよ!水菜はもっと……もっと依存していい。依存して欲しい!俺はそれが嬉しい。」 言われて涙が溢れる。 「…だって…面倒でしょ?おばさんに依存されたら…。三人の母親なのに頼ってばかりじゃ…駄目じゃない。」 「水菜がおばさんなら俺もおじさん!水菜がおばあちゃんになったら俺もおじいちゃん。それが嬉しいよ。ずっと一緒だ。水菜が見えるとこにいないと俺はダメなんだ。ごめんな?ヤキモチ妬いて酷い事を言った。でもさ?水菜が思うほど、周りはおばさんとは見てないんだ。だから気を付けて欲しいんだ。それは…いいよね?」 遠慮気味に聞くから、水菜も思わずくすりと笑った。 「そう…モテるとは思えないけど……真が言うなら気をつけるわ。ごめんね?意地を張って…家を出て…。大変だったでしょ?」 「も、戻って来てくれるの?」 パァァァァァァと真の顔が輝いた。 「真が良いなら…。沢田さん、本当にただの昔の彼女?気持ちはないの?私で…いいの?まだ…沢田さんの事…。」 好きなんじゃないの?……という言葉を言いたくなくて飲み込んだ。 「好きじゃない!!昔の知り合い、本当にそれだけだ!水菜が大事だ!一番大事だよ。いい父親になりたいし、いい夫にもなる様努力する!全面的に俺が悪かった!ごめんなさい!だから帰って来て下さい!お願いします!」 頭を下げて手を差し出す。 真似をして真夏と空も手を出すから水菜は吹き出して笑う。 「ふふっ……よろしくお願いします。」 右手で空と真夏の手に順に触れ、最後に真の手を取る。 「あ……や、やったぁぁぁぁ!やったぞ、海!空!真夏!!一緒に家に帰ろうな。」 まとめて両手を大きく広げて抱きしめる。 「お母さん、帰る?おうち?」 「うん…帰ろうね?」 空に言うと嬉しそうに笑う。 その笑顔を見て、無理をさせていたんだなと、水菜は反省していた。
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