依存

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家族で食事をして真っ直ぐにマンションに帰った。 真は子供三人を連れて帰り、水菜は借りている部屋から荷物を運んで来ると言い、真が車で行くよと話したが断られてしまった。 「子供達をお願いします。先に連れて帰って。一人なら荷物は大丈夫だから…。」 「大丈夫って…車の方が早いだろ?」 「でも…子供達いるし…先に帰ってて?喜ぶと思うから…。」 あまりしつこく言うとまた喧嘩になって、嫌われて…考えると怖くなって不思議に思いながら子供を見る事でそこは引いた。 水菜が本当に帰って来てくれるのか、自宅でソワソワしながら待っていた。 空も心配そうに玄関を数十分おきに見に行っていた。 三時間が経過して流石に心配になる。 (もしかして本当はもう呆れて、嫌気がさして帰る気はないとか?本気で嫌いになったとか?) 水菜に嫌われる要因は数えれば沢山あって不安になった。 ただ…あの水菜がどんなに自分を嫌いになっても、子供達を置いて消える事はないと思えたから信じて待っていた。 水菜が側にいる事…が当たり前になっていて、笑ってくれる事が当然になっていて、考えたら水菜のトラウマも治ったんだと思い込んでいて……してくれていた事、向けられた笑顔、全てが当たり前になりいなくなると思ったら怖くなって来て、真はここ数年を反省し始めた。 夕方になり、玄関の鍵が開く音がした。 空と二人、玄関に走ると真夏も付いてくるから手を繋いで行く。 「ただいまー。遅くなっちゃった。直ぐご飯作るね?」 空が水菜に抱きついて、真夏もそれに続いた。 水菜が上り口に置いた鞄を真は受け取り、遠慮気味に口を開いた。 「お帰り。大丈夫?大変だっただろ?あのな?ごめんな、水菜。帰って来てくれてありがとう。」 突然の真の言葉にきょとんとしながらも、水菜は笑顔で返事をした。 「ううん、こういうの自業自得て言うのよね?」 笑って言うから水菜を抱きしめた。 「自業自得は俺の事だ。水菜じゃない。水菜の体の事にも気付かないで嫉妬はして、水菜は許してくれると勝手に決めつけてなんで分かってくれないって怒ってた。水菜が…帰って来なかったらどうしようかと思った。」 「…ごめんね?空も…ごめんね?荷物、出て行く時より増えてた。そうよね?途中で取りに来てたし…。」 体を放して水菜を見る。 「いつ?」 「会社に戻るって約束した次の日。洋服とか子供達の中心に持って出たから、自分のスーツがなくて…。」 「え?気付かなかった…。」 ショックを受けているとクスクスと笑う。 「真、洗濯物溜め込んでたでしょ?洗ったのよ?大変だったんだから…。」 笑いながら空と手を繋ぎ、リビングに向かう。 「洗った?え?それ、梨香……あー!!梨香がした事にしたのか!」 帰宅して洗濯物が片付けられて、部屋が綺麗になっていた。 同時に梨香がインターホンを押して部屋に来て夕食を届けてくれ、お互いに預けている合鍵で入り、見かねて洗濯したと聞いていた。 再度水菜を抱きしめた。
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