水菜の気持ち

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「だって海をエタエモの託児所に預けていられるうちに少しでも稼ごうと思って。普通の託児所は金額も高いし、いっぱいで直ぐには預けられないしね。離婚だって時間はかかるし三人育てようと思ったらしばらくのお金は必要だもの。養育費がっぽり取ろうと思ってたわ。」 手にしたグラスを前の方に置いて、水菜は膝を抱えた。 「私…結婚してからずっと…真に守られてた。仕事もそうだし気持ちもね?真に出て行けって言われたら行くとこがないの。でも、ここにはいられないでしょ?だってここは真の家だもの。子供だって新しい母親が良い人でちゃんと面倒を見てくれるなら、裁判しても親権も真に取られてしまうわ。誰がどう見ても真の方が裕福で、小さな子供には母親が変わっても気にならないでしょうしね?守られていた場所は、守っていた人がいらないって言えば消えてしまうの。それに気が付いて怖くなった。」 「絶対!そんなこと言わない!水菜を嫌いになる日なんか…う、ぶふふふ!」 大きな声になり、水菜に口を手で押さえられた。 「起きちゃうよ?」 後ろで眠る空と真夏の方を見て水菜が言う。 「…………ふぉめん。」 口を塞がれたまま謝ると、目の前の水菜が笑うから嬉しくなった。 思わず押し倒す体制になると、拒否られる。 ショックを受けながらも、仕方ないと反省をしているとまた水菜が笑う。 「違うよ?嫌じゃないよ?あのさ…女の子の日?来てなくて…少し疑っていたのだけど…。」 「え?赤ちゃん!ほんとに?」 驚いて水菜の顔を見ると、笑いながら否定した。 「疑っていたけど、ただのストレスだったみたい。真と仲直りしたら荷物取りに行ってる時に来た。ごめん…。」 「いや?水菜が謝る事じゃない。三人で十分だし。ストレスをかけていたのも俺だよな。水菜の心の痛みに気付かないで聞きたくない言葉を言った。忘れているなんて旦那なのに…最低だ。……沢田さんは早目に辞めさせるから…。」 申し訳なさそうに真は話して、水菜に謝った。 「それね?どういう雇用契約かは知らないけど、私のことを考えて早目に辞めさせるのはやめて?ちゃんと雇用契約を結んだのだからそれに添って対処して?」 それを聞いて真は水菜らしいとも思ったが、同時に心配もした。
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