水菜

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「ゴホッ…まぁ、良いけどさ。馬鹿は事実だしな。体の調子はどう?」 「大丈夫です。余り心配されないで下さい。」 「するだろ?俺の!水菜だぞ?俺が心配しないでどうする。もっと心配かけて!なんでも言って!会社でも!あと、笑って!」 ちょっと呆れた顔を真に向けてから、 「面白くないのに笑えません。」 と答える。 「じゃあさ、笑わなくていいから何かない?お願いとかおねだりとか…あ、会社関係はダメだぞ?」 「……どうして急に?」 呆れ顔のまま水菜は訊き返す。 「世の中の男性は奥さんへの反省を、鞄とか貴金属をプレゼントする事で表すらしい。」 威張って真は話す。 「はぁ〜。真にその考えはないものね?朝のテレビ?何かの本でも読んだ?」 会社で水菜が「真」と呼ぶ事は、気が抜けている証拠で真は笑顔で答えた。 「甘いな水菜。ネットだ!!」 「はいはい……。鞄も貴金属も結構です。」 「水菜ぁぁぁぁぁ〜。」 「本当に…宇宙馬鹿ね?梨香は上手い例えを見つけたわ。」 くすくすと水菜が笑う。 「宇宙馬鹿でいいから!何かない?」 言われて、ため息を吐いて少し考える。 部屋を見渡して、真の顔を真っ直ぐに見つめた。 「じゃあ…一つだけお願い…いいかな?」 「い、いいに決まってるだろ?何でも言って!!」 パァァァァァァと真の目が輝いた。
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