水菜

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「はぁ……これ…結構するわよね?こんな大きいの…どうしてわざわざ…。」 呆れながら壁に掛けられた家族写真のパネルを眺めていた。 「暫く会えなかったから、それなら横見たら目に入るだろ?」 「入るわね?ここへ来た社員の目にも入るわね…。」 ジロッと睨んで言うと写真の前に立ち、絶対外させないと抵抗をした。 「……いいわよ。外さないわよ。このままでいいわ。」 ため息混じりに水菜が言う。 その心中にはこれが目に入れば女性に誘われても少しは止まるかな…という気持ちもある。 明るい笑顔を見せ、外されなくて良かったぁと考えながら…真は水菜の横に並び立った。 「で?水菜のお願いは何?」 聞かれて衝撃で忘れていた事を思い出して、水菜はプライベートルームの扉を少し開けた。 「……ここね?真を起こす為には入るけど、ここで眠る気持ちにはなれないの。」 「…う、うん。」 言われて、真は改めてトラウマを頭に思い浮かべた。 「梨香にね?沢田さんと二人にならない様に言った方がいいよって言われたの。でもそれって、真が自覚しなければいくら注意しても意味がないわよね?だから言わないつもりだったんだけど…ここね?もし、偶然でも事故でも…ここに沢田さんが眠っていたら、私、かなりキツイと思うの。だから…何かお願いを聞いてくれるなら、ここに誰も入れないで?ずっと真を好きでいさせて欲しい。」 少し涙目になり、水菜が言う。 「み、水菜ぁあぁぁ!約束する!誰も入れない!カメラ!そうだ、最近使ってなかったけど、あれ24時間営業にしよう!うん!それがいい!そうするな!」 がばっと抱きついた後で、カメラを動かしに行く。 「それ…壊れたって言ってたよね?」 茫然としながら聞いて、くすくす微笑んだ。
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