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駆け寄り真は水菜の手を引き、腕の中に収めた。
「痛いなら痛いって……もっと早く言っていいのに。文句…言えばいいんだぞ?水菜。」
「…だって、いい歳したおばさんがって…言ったじゃない!」
腕の中で泣きながら水菜は反論する。
「え?それは…就職の話で…えっと、ごめん。」
「すごい美人じゃない!頭もすごくいいんでしょう?誰が見たって私じゃ敵わないわよ!どうせ可愛くないし、冷たい女ですよ!」
泣きながら文句を言う水菜を真はぎゅっと抱きしめる。
「ええ〜。今の水菜、超〜可愛いんですけどぉ〜。ヤキモチとかちょ〜嬉しいんですけどぉ〜。」
「私は怒ってるの!宇宙馬鹿!」
胸に顔を付けたまま拳骨で肩辺りを叩かれても、真は可愛くてぎゅうと力を入れた。
「ごめんな?過去は変えられない。反省はいくらでもするけどごめんな?水菜が辛くても放してやれない。一緒に居たい、だから辛い時は一人で苦しまないで。水菜の怒りも辛さも弱い心も全部、受けて立つ!だから側にいて?」
「………真?」
グスッと少しずつ泣き止んだ水菜が、真の胸を押して少し離れて顔を見上げる。
「ん?何でも言って?」
真も水菜の顔を見つめる。
「受けて立つって、喧嘩じゃないんだから…そういう時は、君の全てを引き受ける、の方がカッコイイのに…。」
水菜にボソッと言われて、真は笑顔でぎゅうと抱き寄せた。
「受けて立つ!!水菜は冷たい女だからな?」
「……だから!冷たくないってば…。沢田さんと……二人にならないで…ね?」
小さな声で水菜は言い、真はカッコ良く約束の言葉を口にした。
(ちょー可愛いんですけどぉ〜!)
頭の中は宇宙馬鹿だった。
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