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3人目の海が7ヶ月を過ぎると、産休を終わらせて水菜は仕事復帰していた。
一年は休むつもりでいたが、秘書の倉田の結婚が決まり引き継ぎも考えて、倉田が気兼ねなく休みを取れるように前倒しして復帰したのだった。
復帰とはいえまだ15時までで、仕事が早く終わった時は12時に上がるようにしていた。
倉田は結婚式前と新婚旅行期間、3週間の休みを取る予定でいた。
引き続き、アプリ窓口、子育て、復帰直後の新人教育、水菜もいっぱいいっぱいでそこに真に疑われたから余計に腹を立てたのだ。
最初の家出はすぐに帰った。
今回はそうではなかった。
真はあれっぽっち…ただの間違いと言っていたが水菜にはそうではなかった。
どうしてもその先を考えてしまい絶望感に襲われる。
真の顔を見たら思い出すし涙が自動的に流れる。
腹を立てている相手に泣き顔を見られたくもないし、子供の前で泣きたくもない。
だから「出て行け!」と言われた事も都合が良かった。
暫く真の顔を見たくはなかった。
見たらあの場面が思い出されて、その先を頭の中が自動で想像して映像化する。
実際に行われた行為ではないと分かっていても辛い。
だから帰る気は無かった。
真の気持ちも分からないままだった。
聞きたいけれど真は信じろ、誤解だ、寝惚けてたんだ、疲れてたから…その言葉を繰り返すだけで本当の気持ちは分からない。
聞きたいのは…今でもその人を好き?
いつだって自分に自信はない。
真がどうして自分と結婚したのか、どうして好きだと言ってくれたのか未だに謎なままだ。
あんなモテてた人が…今もモテる人が…水菜には今の幸せは夢でも見ている気分になるのだ。
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