英会話を始める。

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お願いを言うと空は水菜に付き添われて、自分の部屋に眠りに行った。 「お父さん、おやすみなさい。」 水菜によく似た、礼儀正しいお辞儀をして。 「俺に似なくて良かった。」 心から思いながら声に出す。 ご馳走さまと呟くと水菜が戻って来た。 「お粗末でした。本当は8時にはお布団に入って欲しいけどねぇ。」 ため息を吐きながら話して、真の食事を片付け始めた。 カウンターのお茶碗を引取りながら、代わりにコーヒーを置いてくれる。 お礼を言い、真は水菜の顔を見た。 「それで?水菜は賛成なの?さっきの空のお願い。」 「賛成よ?興味がある事はいい事だわ。小さい時の方が飲み込みも早いって言うし。ただね?送り迎えがね?保育園終わってから送って行かないといけないの。帰りもね?お迎え。保育園終わってそのまま行けばいいけど、買い物して、帰宅して食事作って海をお風呂に入れて、それからお迎えでしょ?週に一度だから、海のお風呂をその日は空が帰ってからにすればいいけど、ちょっと大変かな?もう少し海が大きくなれば良いんだけど。」 「そうだな。空に一人では無理だしな?遠いんだっけ?」 「ううん、保育園とうちの間だから割と近い。良い先生だって評判だし、私も今、苦労しているからいいと思うの。」 空のお願いは今日、水菜が英語と格闘していて、格闘しながらも空に英語を教えてくれたらしく、空の興味が湧き、英会話教室に通いたいというものだった。 「今日の今日でよく見つけたね?教室。」 真がコーヒーを飲み不思議に思い聞くと、水菜は水道を止めて手を拭きながらリビングに出て来た。 「前からね、保育園のお母さん達の話題に出ていたの。通っている子も数人いて、空もお友達から話は聞いていたみたい。」 真の横に座り、スマホをポケットから出して画面を真に見せた。 英会話教室のホームページだった。 「おお!先生外人さんか。本格的だな。」 見せられたHPには教室の風景と笑顔で紹介されている40代位に見える外国人の男女の写真。 「ご夫婦で教室をやってらして、夜は社会人の教室もあるって。生きた英語って言うの?書くというよりは話すね。どう思う?学校で習い始めて邪魔にならないかしら?」 スマホをエプロンのポケットにしまいながら話して、水菜はお茶を飲んだ。 「教育方向が違うからって事?」 「そう、英語って一言で言ってもネイティブとかイギリス英語とかあるんでしょ?」 「そこまで考えなくても、英語を嫌いになる前に楽しく出来るならいいんじゃない?やりたいって言ってるし、鉄は熱いうちに打てと言うだろ?お迎えはさ、俺が行くよ。遅くなるし帰りに車で。」 「遅くても5時半よ?真には早いでしょ?」 コーヒーを飲み終えて、横に座る水菜の椅子を自分の方に向けて両手を取る。 「週に一度くらい早く帰るさ。どうしても忙しい時は連絡する。その時はごめんな?空、頼むな。」 話しながら掌をマッサージした。
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