2100人が本棚に入れています
本棚に追加
「おはようございます。本日のスケジュール確認をさせて頂きます。」
「はい。」
珍しく真がモニターから目を離して、佐藤響子の言葉に返事をして顔を向けた。
それを見た佐藤はオタオタし始めて、持っていた手帳を落とす。
「申し訳ありません!」
「ゆっくりでいいよ?水菜、この後残ってくれる?少し話がある。サードの件です。」
落ち着いた声で言われたので、
「はい。分かりました。」
と水菜も返事をした。
スケジュール確認が始まり、真はニコニコと珍しく穏やかに話を聞いていた。
「「失礼致しました。」」
二人の秘書が頭を下げて階段を降りて行くと、水菜はそれを見送り、姿が見えなくなってから口を開いた。
「どうされたんですか?今日のスケジュールは詰まっている方で……いつもならそんな仕事要らない、とか言われる日ですよね?だから佐藤も緊張していたのですよ?」
「俺が機嫌いいといかんみたいな言い方だなぁ?」
不満そうに言われて、水菜も訂正する。
「そうではありませんが、サードの納期を3日後に控えて、ランチ会議に岩永さんとのベター新規打ち合わせもありますから、朝から秘書室は緊張しておりました。」
七瀬社長はランチ会議が嫌い、ベターが苦手…岩永さんはもっとだめ。
秘書室の社長取り扱いの覚書に書かれている事だ。
社長を恐れてビクビクしている佐藤にしてみたら、この覚書は嫌というほど見ていて、その中の三つが揃っていたらそれは緊張もするはずだった。
最初のコメントを投稿しよう!