嵐の前の。

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「おはようございます。本日のスケジュール確認をさせて頂きます。」 「はい。」 珍しく真がモニターから目を離して、佐藤響子の言葉に返事をして顔を向けた。 それを見た佐藤はオタオタし始めて、持っていた手帳を落とす。 「申し訳ありません!」 「ゆっくりでいいよ?水菜、この後残ってくれる?少し話がある。サードの件です。」 落ち着いた声で言われたので、 「はい。分かりました。」 と水菜も返事をした。 スケジュール確認が始まり、真はニコニコと珍しく穏やかに話を聞いていた。 「「失礼致しました。」」 二人の秘書が頭を下げて階段を降りて行くと、水菜はそれを見送り、姿が見えなくなってから口を開いた。 「どうされたんですか?今日のスケジュールは詰まっている方で……いつもならそんな仕事要らない、とか言われる日ですよね?だから佐藤も緊張していたのですよ?」 「俺が機嫌いいといかんみたいな言い方だなぁ?」 不満そうに言われて、水菜も訂正する。 「そうではありませんが、サードの納期を3日後に控えて、ランチ会議に岩永さんとのベター新規打ち合わせもありますから、朝から秘書室は緊張しておりました。」 七瀬社長はランチ会議が嫌い、ベターが苦手…岩永さんはもっとだめ。 秘書室の社長取り扱いの覚書に書かれている事だ。 社長を恐れてビクビクしている佐藤にしてみたら、この覚書は嫌というほど見ていて、その中の三つが揃っていたらそれは緊張もするはずだった。
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