嵐の前の。

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「私なら子供にも使いやすい簡単なシステムにして欲しいとか、真なら複雑でも他人に操作出来ない様にして欲しいとか…そういう要望が微妙に伝わってないんじゃないかしら?」 「う〜ん。受けた内容はセキュリティ万全、社長と幹部複数のスマホと連動出来るもの。会社の内部で仕事を円滑にするべく共有出来るシステムの二点だ。 スマホと連動っていうのが実際に向こうのスマホを見てないから面倒なんだけどな?取り寄せられないか検討中で…。すれ違いってどういう事だ?」 「それは…真は沢田さんから聞いたの?」 「いや?ほら、電話の時。直に話して契約したいって言われた時、あの時に聞いてそのまま打ち込んだんだ。これをメールで送って契約書を作成したから、これで間違いはないはずなんだけどな。」 「そう…。真が直接話しているなら大丈夫ね。気になるから念の為、沢田さんに確認をしてくれる?」 「そうだな。俺も気になるし、確認しておく。ありがとな…水菜。でもさ?あんまりスティーブ?仲良くなるとヤキモチ妬くよ?」 その言葉を聞いて水菜は吹き出して笑う。 「笑うかぁ?本気だぞ?」 怒って膨れて見せた真に笑いながら水菜は答える。 「スティーブは愛妻家よ?日本贔屓なのも奥様の影響ですって。こっそり日本語を勉強して、奥様と旅行に来て目の前で話して驚かせるのが夢なんですって。素敵でしょ?」 「…それは素敵だな?来日したら案内したいな?」 真が答えると水菜は嬉しそうな顔で笑った。 それを見て真はふにゃふにゃになっていた。 会社で見られる笑顔ではなかったからだった。
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