気に入らないんですけど!

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翌朝、出勤して仕事用のノートパソコンを立ち上げる。 掃除をしながら、メールが全部受信された音を聞く。 お盆休みに今日から入り、倉田は休み。 今日は佐藤も出勤で掃除をしてくれているが、3日後に連休を取っている。 フロアも通常の半分も人はいないから、社内は随分と静かだった。 「床の掃除終わりました。コーヒーの準備もして来ました。」 佐藤に報告をされて水菜はくすりと笑う。 「ありがとう。そろそろ慣れた?今日はメール確認もしようか?私も同時にするから先ずは上の10個。やってみて?」 「はい!」 気持ちのいい返事をして、佐藤は椅子に座った。 上の10個の件名と相手を確認しながら、水菜はこれなら佐藤にも出来ると判断して、下へと画面をスクロールさせた。 英語の文字が目に入った。 (これ…社長の名前。社長宛?送り主…スティーブじゃないわ。知らない名前、でも…G、forestだわ。) どちらにしても社長宛のメールは確認するのが仕事。 不思議に思いながらまずは気になるそのメールから空ける。 全文英語である事は分かっていて、早く翻訳しようと考えての事だった。 翻訳ソフトを開き、全文コピーしペーストする。 翻訳ソフトはまとめて翻訳すればする程、時に主語や述語、おかしな日本語が出てくる。 微妙なニュアンスが変換出来ないからだ。 それでも内容は9割は理解出来る。 「…何これ。」 驚いて水菜の手が止まる。 「石原さん?どうされました?」 佐藤に聞かれて席を立ち、早口で指示を出す。 「社長のとこに行きます。メール確認をお願い。分からない物は残して確実に分かる物から対処を。10分で戻ります。」 それだけを言い残して急いで階段を上って行った。
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