気に入らないんですけど!

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「無茶でもなんでも!メールのやり取りならなんとかなる!賠償金なんて冗談じゃないわよ!担当者の怒りを鎮めてもらって、変更があるなら納得いく様にしたい。うちに頼んで良かったって思って欲しいの。エタエモが信頼の出来ない会社だと思われたままなんて嫌だもの!お願い!最終的には真に任せる事になると思うけど…お願い!」 机の上で祈る様に手を合わせてジッと顔を見つめられて言われる。 「大変だぞ?その担当者怒ってるみたいだしな?怒鳴られるかもしれないぞ?もっと酷い状態になるかも知れない。」 頭を掻きながら脅してみる。 水菜のお願いに駄目だと言える自信もなく、こうなると水菜が止まらないのも知っている……が、大変な事も想像出来るし、辛い事は止めて欲しいのも真の本音だから無駄とは考えながらも脅してみた。 「あ、大丈夫!だってメールだから。電話が来たら真が通訳してくれるでしょ?だから怒鳴られても全然、平気よ?」 笑顔で言われて真もくすりと笑う。 「分かった。先ずは担当者に話を聞く事。水菜に任せる。向こうの朝の仕事が始まるのはこっちの8時過ぎかな。それまでにメールを出してくれ。沢田が出勤したら言い分をもう一度詳しく聞く。内容によっては沢田にお詫びの電話を入れさせる。それで向こうの担当者が納得してくれれば、俺が直に話を聞く。それ前提でメールを出してくれ。」 「お詫びはまだ分からないから、それは伏せて、まずは非礼を詫びるメールを出すわ。話を聞きたいとそれでいいわよね?」 「ああ、一応、出す前に俺のパソコンに送って。目は通す。」 「ありがとう、真。大好き!」 クルッと向きを変えて急いで階段を降りようとする。 「もっかい言って!!」 大きな声で叫ぶと、階段前でもう一度振り返る。 「賠償阻止出来たら言ってあげる!」 笑顔で言われて、真は机に伏せた。 (なに?あの可愛いさ?賠償…痛いけど、もう、俺めっちゃ仕事する!水菜に苦労はさせられん!もっと壮絶に似合うスーツ買ってやるんだ!) 宇宙馬鹿は会社の危機にも水菜のスーツの方が大事だった。
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