2234人が本棚に入れています
本棚に追加
/226ページ
車に乗り込み後部座席に座ったタケルは、座るなり自分の部屋の様にくつろぎだした。
「俺、パスタ食べたいからイタリアンの店に行って」
「はい」
本当に態度がデカイ。
「あっ、それと、敬語使われんの嫌いだからタメ口でいいよ。俺もあんたのこと芹架って呼ぶし、今日からタケルでいいから」
「わ・・判りました」
悪気がある訳じゃないんだろうけど、何となくシャクにさわる。
「お店、何処でもいい?」
(えっ、寝てるし…)
バックミラー越しにタケルの寝顔を見たけど、やっぱりまだ、あどけない顔をしてる。
起こすのも可愛そうだと思い、そのまま取材場所まで行くことにした。
「タケル、着いたよ」
「えっ?ここ何処?店じゃないよね?」
こんな親切心が、あだになるとは思わなかった。
「俺、パスタ食べたいって言ったよね?」
「うん。でも、気持ち良さそうに寝てたし起こすの可愛そうだと思って」
明らかに不機嫌になった。
「言われたこと、ちゃんとやってよ。使えねぇーな」
「ごめんなさい」
タケルは、私を睨み付けて、サッサとビルの中に入って行った。
(何でこんなことで、睨まれなくちゃいけないの)
現場に入って驚いた。
普段、一緒にいる私達の前で取る態度とまったく違う態度だった。
最初のコメントを投稿しよう!