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(何、この子・・)
「おはようございます」
こんなに元気で愛想のいいタケルは、見たことがない。
事務所で見かけてたタケルは、無愛想で態度がデカくて生意気な姿。
今、目の前で見てるタケルは、別人かと思ってしまう程だった。
楽屋に通されて、さらに驚いた。
「喉乾いた。ジュース」
驚いてる私にタケルは、
「何、驚いてんの?態度が違うとか思ってるでしょ」
「べ、別に思ってないよ」
見抜かれてる気がした。
「あんなの俺ん中じゃ普通だから。つーか、ジュースまだ?」
何でこんなに態度が違うのかと、聞いてみたくなる。
(聞いたら聞いたで、また不機嫌になるんだろうけど・・)
ここは何も聞かずに、無言でジュースを差し出した。
「芹架さ、俺のこと、すげー警戒してるでしょ。それやめてくんない?警戒されると仕事やりにくいんだけど」
「警戒なんてしてないよ。ただ、タケルのことあんまり知らないし、事務所で見かけるくらいだったから」
(会話しながら別のことしてるし)
聞いてんだか聞いてないんだか判らなくなる。
「あっ、取材の後の撮影ってナイター?」
「うん。そうだけど」
面白くなさそうな顔をした。
(仕方ないっか。まだ二十歳だし、一番遊びたいはず。分刻みのスケジュールが毎日続いてるんだもん)
面白くないのも無理はない。
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