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カミサマはあきらめた!①
「光あれ!」
なにもない空間に目映いばかりの光が、真っ暗闇だった空間を、世界を照らした。
この世界は光と闇が、即ち昼と夜が交互に訪れる世界となった。
「水と空あれ!」
この世界の天に大空があらわれ地に海があらわれ、上下二つに分かれた。
「天に太陽あれ!夜空に月あれ!星を瞬かせよ!」
この世界の昼には太陽が昇り、夜には月が浮かび無数の星が煌いた。
「水に魚あれ!空に鳥あれ!」
この世界の海と湖、そして川には魚が泳ぎはじめ、大空には鳥たちが羽ばたいた。
「地に獣と家畜を!そして私の姿に似せた人間を!」
安息の土地に動物が生まれ家畜が生まれ、最後に人間が世界にあらわれた。
そして神は七日目に休まれました。
こうして皆様が住まう蜜の溢るる芳醇な世界が生まれたのです。
ですが……。
「「「神は死んだ!!!」」」
「「「ちがいます!!!死んだのは牧師さまと神父さまとお坊様の毛根です!!!毛根死滅は神様とは関係ありません!!!」」」
「「「いや死んだね!!!神、ゼッテー死んだね!!!」」」
「「「いやいやいや!!!全知全能の神様は死にません!!!死んでしまったのは皆様の毛母細胞です!!!」」」
年配の細身の牧師と中年の小太りの神父に仕える修道女二人に、んで、ちょっとぽっちゃり気味の若い坊さんについてきた尼さんがクリスマスになんか頭の悪そうな言い合いをしていた。
「「ところでなんでお坊さんが混ざってんですか?」」
「知りませんよ」
修道女らに当然の疑問をぶつけられた尼は、両腕を肩くらいまで上げて手のひらを見せながらヒラヒラ振った。
「「「へぇーそう。神は死んでないの。( ´_ゝ`)フーーーーン」」」
「「「そうです!!!神様は死にません!!!」」」
あの顔イラつくわ!と、三人の女性はドス!っと土壁を下から突き上げた。
この世界に新たな三つの穴が生まれた。
なんかエロい。…と感じるのは病気だろうか。
「「「じゃあさ、神が生きてるって証拠見せろよ」」」
「「「はえっ?証拠???」」」
「「「全知全能の神ならオレの、オレたちの頭の不毛な大地に天地創造してみろや!!!具体的には髪をふさひさにアフロ余裕な毛量を創造してみろよ!!!出来なかったら(´;ω;`)泣くぞ!!!」」」
「「知らんしもう泣いとるがな!!髪は有限、神は永遠なの!!あと聖職者が神の存在を否定すんな!!」」
「…坊さんは神とかいいから、仏像の前でジャンピング土下座キメながら御経をマイク片手に365日で唱えてろ」
突っ込む修道女の後ろから、尼さんが俯き加減でポツリとつぶやいた。
尼ちゃんこわい。
カラカラ…ペリ…。
「カミは死んだ!」
「そうだね牧師のケツ拭くトイレットペーパー無くなったね!もう手で拭けばいいんじゃね?お前ごときはそれで十分じゃね!」
金髪サラサラヘアの修道女が吠えた。
池にプカリ。トロトロトロ…。
「カミは死んだ!」
「水に溶ける妖怪メモかよ懐かしいな!神父の髪もシャワーで全溶けしたんじゃね!」
亜麻色髪が艶やかな修道女が喚いた。
チョロチョロチョロ……ぺちゃ。
「カミは死んだ!」
「オブラート製の検尿器になに不浄な水注いでるんですか!そりゃ溶けますよ!一気呵成に溶けますよ!坊さん!あなたの髪のように若くしてね!そしてエノキ茸一本分の粗珍しまって!」
剃髪姿も凛々しい尼が顔を赤らめながら唸った。
ピッ!ピッ!ピッ!
「「「不浄水塗れの手をパラパラ振んな!!!きったない雫がこっちにも飛び散るだろ!!バカ坊主!!!」」」
「うっちゃい!仕返しじゃ!あとエノキちゃうわ!」
「「おお!!これが神が遣わされた聖水か!!」」
「「なに牧師と神父はテカリ頭を晒して不浄水浴びようとしてんだ!!それかかったって髪の毛はえてこねーからな!!ホントあんたらかなりなバカだな!!」」
「「えっ?!だって御仏の慈悲にすがって万病に効くとかいう甘茶を浴びたら効果あるんじゃないの??」」
「「灌仏会じゃないから!!今日は仏様の誕生日じゃないから!!ジーザスな誕生日のクリスマスだからね!!なに御仏の慈悲にすがって髪生やしたろうと目論んでるんだ!!ハゲ坊主の小便にそんな御利益あるかい!!あと、神が遣わした聖水設定どこいった??もうね、あんたら聖職者やめて仏門に入れよ!!」」
「それ、くっそ迷惑なんですが…。もしかして仏、なめてんですか?」
「「ごめんなさい!!」」
お坊さんに牧師、そんで神父の暴走に怒り心頭の修道女二人の放った言葉に、遂に悟りの向こう側を目指し始めた尼さんのドスの利いた言葉に、修道女二人は全力のジャンピング土下座で謝罪した。
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