カミサマはあきらめた!③

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カミサマはあきらめた!③

「「そうです。そうです!!お爺様、よくあれだけの会話でわかりましたね!!」」 「三田さん。以前は何のお仕事を為されていたんですか?刑事?それとも私立探偵?」  不思議な手品を見たかのように楽し気にピョンピョンしながらはしゃぐ三人の神や仏に身を(ゆだ)ねる娘たちを余所(よそ)に、老紳士はスッと彼女たちの前へと進み、一度軽く一礼してから口を開いた。 「わたくしは刑事さんや私立探偵さんなど、映画やドラマで活躍するような華々しい職業には性格的に向いていませんよ」 「では、どのようなお仕事を?」  と、亜麻色髪の修道女さんが尋ねた。 「そう、わたくしは若い時からいろいろと職を転々としてきましたが、一番性に合っていたのは運送業のお仕事でした。ちなみに、今も現役で小さいながらも運送会社を営ませてもらっていますよ」 「「「へぇ~!それじゃおじいさんは社長さんなの!?」」」  慇懃(いんぎん)な物腰ながら、どこか諧謔(かいぎゃく)にとんだ言い回しをする老紳士と、その素性に、三人娘のテンションは一個の少女に戻った。 「けっ!あのジジイ社長さんかよ!」 「へっ!身形(みなり)からして結構な金持ちじゃないかと思ってたんだ!いけすかねぇヤロウだ!」 「ぺっ!爺さんブルジョアジーかよ!ブルジョア爺さんか!略してブルジョア爺だな!クソが!」 「「「革命して、アイツの財産奪ってやろうぜ!!!」」」  (# ゚д゚)(°Д°)(゚д゚# )ヒソヒソ砒素ヒソ… 「なんか頭悪そうな聖職者と僧侶が神仏に仕える者が云っちゃいけない危険な言葉を平然と吐きやがりましたよ?」 「しかもヤバそうなヒソヒソ話までしていますよ。ヒソヒソの中に毒物が見えているのが怖いです…」  (;´・ω・)(・ω・゛)コワイネ ネェー  金髪さんと亜麻色さんは肩をすくめながら、神の(しもべ)たる牧師と神父。…いや、この場合は髪の僕のハゲどもの髪を喪った際に生じたヤバさについて討議を始めた。 「お爺様。毎日の食事と夜道にはお気を付けてくださいませ。もしよろしければ、あたくしが御守りいたしますよ?あの人たちは頭が完全に禿()げあがって()いたばかりのゆで卵みたいになってしまって、考えたことが髪の毛のフィルターを通せずに口から駄々洩れになってしまってるんです。もう、彼らを救う事は万能の発毛剤でも開発する以外ありえません」  どちらかと云うと、可愛いらしい顔立ちで丸顔の剃髪(ていはつ)尼さんの方が、ハゲ散らかしたトリオ漫才よりも残忍な殺戮者に見えた。 「仏門のお嬢さん。腕に自信が御有りかな?」 「本場の小林寺拳法を少々…」  尼さんは片足を上げて立ち、ついで両手をY字に広げて手首を曲げて、白鳥が湖の縁にたったいま舞い降りたような構えをして見せた。 (注・ぜひ真似してみてください♪できれば人前で唐突に♪新しい世界がもう、アホほど開けます♪…実体験済み( ;∀;))  ほう…。それはそれは。  と、社長で老紳士は(いた)く感心する。 「ちなみにお尋ねしますが、本場と云うとkiina《中国》ですかな?」 「ええ、本場から発信されているネット教育で♪」 「すみませんが、もう一度」 「ですから、本場中国から全世界に発信されている有料ネットを見て勉強しました」 「ええっと、まさかあなたは優秀な大課金者さま。…いえ、その、少林寺の有段者ですかな」 「それはもう!なんとあたくし毎日お金をつぎ込んで、ついに百段を手にいれました!」 「ひゃ、百段?」  老紳士は柄にもなく僅かばかり狼狽した。 「ええ!記念して名付けられた称号は『スーパー・パーフェクト・エグゼクティブ・ガール・マインド・コントロール・ワールドクラス・テラワロス・グランド・チャンピオン(nihon no onnanoko maji choroiyo maman)ですの♪すごいでしょ!一度も試合したことないですけれど!それと、あたしが習ったのは【小林(こばやし)(でら)拳法(けんぽう)】です!一週間、毎日座学でがんばりました!」  老紳士は顎が外れるほどパッカと大きく口を開けた。  そして思った。〝それたぶん中国じゃないんじゃない?〟と…。  しばらくして…。 「そ、それは素晴らしいですな!あなたの頭脳の柔らかさには完敗です!」 「ありがとうございます♪護衛がんばります!」 「それには及びませんよ、お嬢さん。ご親切にありがとう」  (´-ω-`:)<コバヤシデラッテ ドコダヨ カンゼンニ カネヅルダヨ アノコ  老紳士は小林寺拳法本部がどこにあるのか確認する為、ポケットから無駄だと知りながらもスマホを取り出してサクサク検索をはじめた。  割とヒットした。
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