3人が本棚に入れています
本棚に追加
アントゥスは迷いもなく奥へ進んでいく。道は真っ直ぐで、とても木の根の中とは思えぬ、コンクリートで壁が塗り固められていた。
しばらく進むと、梯が下に伸びていた。アントゥスはこれも迷いなく降りていく。アンリーヌもアントゥスのそばを離れまいと、即座に同じことをした。それはコルネロも同様だ。
「ある本で、こう書かれていたのを読んだことがある。〝暗い森の奥、呪いの秘密あり〟と。それを探しに来たのだ」
真っ暗な地下、3人は1列で歩いていた。松明の光すら吸っているこの闇は、恐怖すら感じさせた。
と、アントゥスは何かを見つけたのか、奥へ走っていく。2人も慌てて着いていった。見ると、遠方にドアがある。アントゥスはドアの前に立つが、一向に開かないのを見ると、鉄でできたドアを蹴った。
「アントゥス様、ドアの上に、何やら文字が」
アントゥスはドアの上を見上げた。確かに文字が書いてある。
「男の口に血を捧げよ。単純だ」
アントゥスは自分の指先を切ると、男の顔をかたどったドアノブの装飾に、血を捧げた。すると、ガチャリ、と音がし、ドアが開いた。そこは書斎のようになっており、机の上には書類が散らばっていた。が。
「ないな。はずれだ」
畜生め、とアントゥスは机を蹴った。アントゥスは少しの間頭を抱え、コルネロに尋ねた。
「お前、何か知ってることあるか?」
当然何も知らないので、コルネロは首を横に振った。そりゃそうか、とアントゥスはがっくりと肩を落とす。
「仕方ない。他を当たろう」
梯を上り、あの一本道を進んだところで、アントゥスは皆を止めた。
「構えておけ」
アントゥスは剣を抜くと、ゆっくりとドアを開く。
「何者だ、お前たち!」
高い女の声が、森中に鳴り響いた。
最初のコメントを投稿しよう!