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黄色の規制線を潜って現場へ向かう。死体
はやはり首を綺麗に切り取られていて、辺り
には湖のように血溜まりが広がっている。
「何回みても悲しいですね、これ…。」
「そうね、だからさっさと犯人見つけて
とっ捕まえないと。」
死体から目を背けつつ呟く後輩に声を
掛けつつ、現場の様子や遺留品などのチェッ
クを行う。しかしまぁ見つかるといえば件の
赤いマフラーと被害者の持ち物のみ。犯人の
痕跡となりそうなものは軒並み掃除されて
いる。潔癖か。
「髪の毛も指紋も無しかぁ。ここまで来る
と最早尊敬するわ。」
「でもマフラーだけは処分しないんです
よね。まぁ痕跡は何もないんですけど。」
ひょいっ、とマフラーを持ち上げる。これ
だって既製品ならまだ購入店舗とかその近辺
の防犯カメラとか確かめられたのに、毎回
毎回手作りと来た。
「…とりあえず、友人知人に話聞こうか。
手がかり見つかると良いけど……。」
立ち上がって現場を出る。さて、今回は
彼氏の顔をみた人がいたらいいのだけど。
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