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次の日もその次の日も、ハッピーノベルを開けなかった。
ハッピーノベルにログインして退会手続きをしたら終わるのに。
そうすればいずれ祐美も樹くんへの関心を失い、港中央高校の生徒達も苛めを止める。 それまで待てば良いだけ。
わかっているのに、ハッピーノベルが開けない。
ツイッターで私が祐美(ゆっちん)を特定出来たくらいだ。ハッピーノベルのファンも既に知っているかもしれない。
岬がハッピーノベルに姿を表さなくなった事で、私の様にツイッターで検索する可能性もある。
怖い。あんなに楽しかったハッピーノベルが今は恐怖でしかない。
明日から樹くんは中間テスト1週間前になる。
涼も日程が一緒だって言ってた。もっと涼やファンのみんなと遊びたかった。
「美咲さん、最近ミスが多いわよ。もっとしっかりしてもらわないと」
「はい、すみません」
樹くんの事、涼の事が頭から離れないせいで、仕事でも時々ミスをしてしまう。
切り替えないと! 時間が過ぎれば樹くんへの虐めはなくなり、涼もみんなも岬を忘れるんだから。
ハッピーノベルには戻れない、だけど楽しかった涼とのコラボを思い出して小説を書き始めた。誰にも見せる事はないけど、執筆している時だけは嫌な事を忘れられる。
年下の男の子を好きになった女性の苦しい気持ちを書く恋愛小説。
小説の中だから良いよね。
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