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「そんな事はない。樹が弱いのは私のせいだ」
「こんな事になったのは全て私が樹くんの情報で登録したからです。本当にすみませんでした」
私の嘘が、樹くんを引きこもりにして、田中さんと母を離婚に追い込んだのに、田中さんも母も私を責めなかった。
2人に何度も謝った。
その後、田中さんが、樹くんを呼びに行ったけど、樹くんは部屋から出てくる事はなかった。
それから1週間、田中さんと母は引越しの準備に追われていた。
樹くんは先に引越し先のマンションに住んで新しい高校に通っている。
樹くんが高校に行けなかった期間はそんなに長くない。
きっとすぐに取り戻せる。
涼にはDMで、今はいっぱいいっぱいで本当の事を話せる余裕がない事、落ち着いたら必ず全て真実を話すから待っていて欲しいと伝えた。
すると、涼から『俺はいつまでも待っているから』と返信がきた。
他のファンからも、岬を心配するDMやコメントが沢山きている。
『事情があってしばらくハッピーノベルを休止するよ。このツイッターのアカウントも明日には削除するけど、落ち着いたらまたハッピーノベルを再開するから、それまで待っていてくれると嬉しい』
とメッセージを書き、次の日、ツイッターの岬のアカウントを削除した。
数日後、田中さんと母は離婚届を出した。 私のせいでこんな事になったという罪悪感は消えない。
いつか樹くんが大学に行き、田中さんと母がやり直す事になったら、罪悪感も消えるのだろうか。
胸の苦しさを抱いたまま、日常を過ごしている。
田中さんが引越しをするのと同時に、私と母も新しいマンションに引越しをした。
母はすぐにスーパーのパートを探し、働き始めた。
私も今は仕事に全力を注いでいる。
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