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ハッピーノベルは1年間一度も見ていない。
田中さんと母は時々ラインでやり取りをしているらしい。
樹くんは友達も出来て、新しい高校に元気に通っている様だ。
夏休み、田中さんからの提案で、みんなでランチを食べる事になった。
田中さんが指定したレストランは普段食べに行けない様な高級フランス料理店だ。
緊張しながら、母と一緒に樹くんと田中さんを待っている。
一年ぶりに見る樹くんは、真っ黒に日焼けしていて、たくましく見えた。
「久しぶり。元気にしてた?」と声をかけてくれた田中さんは樹くんの事件が起きる前の優しい田中さんだ。
緊張しながら、フランス料理に手をつけていく。
田中さんと母は仲良さそうに話している。
もしかして、田中さんは母にプロポーズする為に、このレストランに誘った?
その予感はデザートが運ばれてきた時に本当になった。
母の大好きなフルーツケーキ、母のお皿には
I love you の文字がチョコレートで書いてあった。
「京子さん、もう一度結婚してくれませんか?」
なんてロマンチックなんだろう。母の顔を見ると恥ずかしそうに真っ赤になっている。
樹くんは笑顔で田中さんと母を見ている。 きっと田中さんは何度も樹くんと話し合ったのだろう。
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