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1年が過ぎた今、涼もファンも岬の事など忘れているかもしれない。
それでも、私は自分の気持ちに区切りをつける為にみんなに全てを話そう。
エッセイに今までの事を書き始めて、何か違和感を感じる。
小説を書くのが大好きだった中学生の頃の事を思い出した。
以前、岬は小説を書いた事がないと嘘をついたけど、小説を書く事から始めた方が良いのではないか。
そう思った時、今までの事を小説として書き始めた。
学校名、本名などの個人情報は全て仮名にした。
涼とファンはこれが岬のノンフィクションだとわかるけど、他の読者にとってはヒューマンドラマになる。
夜10時半から書き始め、朝4時までかかって1万五千字書けた。
次の日も、その次の日も、取り憑かれた様に小説を書く。
完成した小説は4万字。
こんなに長くなるとは思わなかった。
何度も読み直して、修正をする。
公開しょうとすると、胸が苦しくなる。
だけど、これが涼との約束。
目を瞑り勇気を出して、下書きを公開する。
もしかして誰も見てくれないかもしれない。
見てくれたとしても、どんな反応があるのかと思うと怖い。
すぐにハッピーノベルを閉じて、ベッドに入った。
それから2日間は怖くてハッピーノベルを開けなかった。
3日目にやっとハッピーノベルを開くと、通知欄の数字が30になっていた。
いいねを押してもらったり、メッセージやコメントが届くと通知欄に数字がつくのだ。
手が震えながらも通知欄をクリックする。
懐かしいファンや涼がいいねを押して、メッセージやコメントを書いてくれている。
嘘をついた事を責めるコメントもいくつかあったけど、それ以上に優しいメッセージやコメントがあった。
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