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その男、記憶喪失につき。
自分の名前は高擶宏樹らしい。らしいというのは、今、僕の記憶はないからだ。今僕は病院のベッドに座っていた。話によると交通事故にあって運ばれたらしい。目の前の寿夏美が語った。その隣にいる警官はしばらくしてから去った。寿夏美は申し訳なさそうに謝った。僕はわからない。どんな事故だったのか?もしかしたら僕も悪かったのかもしれない。
「あの、記憶が戻るまで私が面倒みます」
寿夏美は言った。記憶がないとはいえこんな美しい女性が?と僕はいやらしい妄想をする。
「高擶さん大丈夫ですか?」
夏美は僕の顔を覗きこむ。
「あ、うん、大丈夫」
僕は言った。
寿夏美は微笑んだ。
僕の仕事は?僕は悪くなかったの?僕の家は?家族は?何も思い出せぬ。
寿夏美はマンションに住んでいた。
僕は広くて驚いた。
「自分の家みたいに住んでね」
寿夏美は微笑んだ。
「ありがとうございます」
僕は言った。ソファーに座る。
「記憶がない、どうやったら戻るのだろ」
僕は考えた。考えてもわからない。
「ねぇ、お茶でも飲んでゆっくりしよ」
寿夏美はお茶を運んできた。
「そうですね」
僕はお茶を口にする。ん?なんか?おかしい?眠気が襲ってきた。と、意識が遠退く。
ふらりとソファーに横に倒れる。
「失敗した」失敗?何を?
完全に意識がなくなった。
「殺します、大丈夫です。今度は失敗しません」
寿夏美の声が聞こえた。
僕はゆっくり起き上がる。
「寿さん···なんかおかしくないですか?」
僕はなんか巻き込まれた気がした。狙われていたのではないか?わざとひいたのじゃないか?殺すつもりで。そして失敗した。今度は失敗しません、今度は殺す?そういう事じゃないか?
「寿さん、僕を殺すつもり?」
僕は寿夏美を見つめる。
「だったらどうします?逃げます?」
寿夏美は僕を見つめる。
「いや、逃げない。寿さんの美しさに決めた、ヒーローになる」
僕は言った。それもあるか寿さんと肉体関係になりたい思いが強かった。
「ヒーロー?高擶宏樹さんが?」
「そう、寿さんの組織も潰せるようなヒーロー」
「どうして?」
「君が美しいからだ」
僕は叫んだ。
寿夏美は真っ赤になって僕を見ていた。
寿夏美は多少考えたが仲間になった。
「私が武器を用意します」
と寿夏美は言った通り用意した。
普通の銃、組織を潰す爆弾、空を飛べるジェット機(しょう、ボタンで方向上下)、仮面、軽いコスチューム、他多々有り。
ジェット機を背負って空へ飛んでいく。
聞いていた組織の真下に爆弾を落とす。
爆発がして炎があがる。
空を飛び戻る。
「ヒーローの名前決めなきゃね」
寿夏美は言った。
「夏美の組織を潰したよ」
僕は言った。
「高擶宏樹、ヒーロー、何がいいかな」
寿夏美はワクワクしている。
ヒーローが誕生した。
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