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いずこへ
俺、高堰は走った。空には爆撃機が何機も飛んでいく。瓦礫の陰に隠れまた走る。なんで戦争が起きたか?そんなのは肩がぶつかったぶつからないという些細な事から起きるものだ。政治的などんなやり取りがあって日本が攻撃を受ける事になったかなんて知らない。202×開戦。恋人とデートをしていた俺は爆撃で恋人をなくした。俺は絶望した。
だが見たという情報もあった。だから俺は生きる。この戦場で。
エスカレーターが揺れた。地震?俺は恋人の手を繋いだ。そして起きたのが崩壊。地上へ叩きつけられた。彼女はいなくなっていた。いつ手を離したか覚えていない。それ以来会えない。だが、彼女を見たという情報は行く先々で得られた。不思議だ。
爆撃機が爆弾を落としていく。大音量で爆発し建物は砕け散る。破片が飛び散る。注意していたにもかかわらず破片に当たって意識がとんだ。
目を覚ますと薄暗い広い、人が何十人もいる場所にいた。
「起きたか、ここは地下の安全な場所だ、私は京野、君は?」
側にいた男が言った。
「高堰です」
「高堰さんか、しばらくここにいればいい」
「あの、恋人を探しているんです」
俺は聞いた。
「恋人?そうか、名前は?」
「花です、松崎花です」
俺の言葉にざわつく。
京野も驚いた顔をした。
「知ってるんですか?」
俺は食いついた。
「ん、松崎花さんはここにいた、すれ違いだ」
京野は言った。
「いつ?いつですか?」
「二日前だ」
俺はすぐ出発した。二日前という事はもう少しで会える。
必ず会える。
そんなに差は開いていない筈だ。
もう少しだ。
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