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「どうだった?」
はじめの声に、意識が戻る。周りを見て、自分がまた白い空間に戻っていることに気がついた。
「部長は、自分のことなんて嫌っているだろう。そう思ってた?」
俺は何か言い返そうと思ったが、言葉が思いつかなかった。
「次が最後だよ」
目の前に巨大な扉が現れた。俺の背丈の三倍くらいはある。俺はぼんやりとそれを見上げる。
「今度は誰に会うんだよ」
俺が言っても、はじめは「秘密」と、笑い混じりに言うだけだった。
扉にそっと手を触れる。今度は誰だろうか。俺の交友関係はそんなに広くない。頭に何人かの顔が浮かぶが、どれも違う気がした。
自分はどうしたいのだろうか。自分の心に問いかけるが、答えは返ってこない。まともに考えられないほど、頭の中は混乱していた。
扉を力いっぱい押す。開いた扉の隙間から、光が差し込んできた。
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