ー存在ー

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昨日の僕の目はひどく赤く染まっていた。 泣いて、泣きまくった。それでもひっそりと声は殺して。 もう20過ぎの大人が子供のようにうずくまっていた。情けないなんて感情は、僕には要らなかった。 暗い部屋に一人きり、誰を呼ぶわけでもなく、逆に誰か慰めに来てくれるわけでもなく。 ただ、ひたすらにめそめそと涙を流していた。 何も食べたくなかった。 何もしたくなかった。 それでも、生理現象は日々訪れるから、動かないといけない。 何も望まなくても楽にさせてくれないのだろうか。 放っておいてよ。もう。 要らない。何もかも要らない。 「彼」以外。何も。
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