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『なに泣いてんの、颯馬(そうま)』
ベッドの上で二人きり。
横を向くと「彼」の顔があった。
綺麗、という形容が上手い具合に当てはまるそのルックス。
特徴的なのは、左目の下、そしてその対角線上の口元にある2つのホクロ。
見る人を惹きつける艶めかしさは、そのせいで増している気がする。
また、「彼」の周りでは髪を染めている人が多い中、「彼」は唯一影響されずに自然な黒髪を維持していた。
対照的に僕は、同じ黒髪でも本当に暗い感じで、「彼」の明るさとは相容れない。
何も勝っている所は無いのに、僕を見初めてくれた。
正直、嬉しいなんて形容じゃ収まらないぐらいだった。
でも、今は…すごく悲しい。
「彼」の顔を見ると、悲しくて仕方がない。
『俺が死んじゃったことが悲しいの?』
僕の前髪をかき上げて、自分の額を擦り寄せてきた。
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