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沖縄で撮影
「白河くん、今回の写真集の撮影は沖縄だから」
「まじですか」
ラッキー!私の地元。撮影って言ったら、ほぼ都内の海岸とか公園とかだったから。
「君の実家の近くではないからホテルとるから」
「あー、そうですか」
私の実家なんで知ってんだよ!って当たり前か。履歴書に堂々と載ってる。
しかもー、撮影だから島とかっしょ?
あーやだやだ。浮かれてたのがばかみたい。
そんな気分で沖縄に行った。
飛行機を降りてから、船に乗って島まで。撮影は長期なのに、全然楽しみじゃない。
現地に到着するとたくさんのスタッフが待っていた。なるほど、東京からもスタッフ来てるけど、現地の人も手伝ってくれるわけね。
「白河くん、君がいたスタジオのスタッフも協力してくれるそうだ。彼は私の知り合いだから…撮影中はずっと手伝ってくれるそうだ」
「こんにちは!白河さん!」
「お、お久しぶりです」
彼は古屋準也。私の彼氏。
「撮影お手伝いさせてもらいま~す」
へらへらと笑ってる。私との関係は誰にも秘密。
彼と一緒に仕事とか、すごく久しぶり。
撮影は海岸で行われた。
私と海は長山さん曰く、合うらしい。
暑い日差しの中での撮影。
焼けるんですけど!
準也は長山さんの小間使いをしてる。そう思うとおかしい。変なの。
だって沖縄ではカメラマンなのに。今雑用とか!よくこの仕事受けたね。
てゆーか?長山さんの知り合い?
あー、会社のね?
「白河くん、今日の撮影は終わろう」
「はい。じゃあ私部屋戻ります」
そそくさと部屋に戻って、準也にメールした。
[なにしてんの?カメラマンが雑用?変なの!]
返信はなかなか来なかった。当たり前、だってまだ片付けやってるはずだもの。
つまんないの。
撮影場所から近いホテルだから窓から覗くとすぐに見えた。
あー、まだなんか片付けしてる。やっぱりね。
私はモデルだからやりたい放題だものね。
あーあ。こんなんでいいのか。
ベッドに横になり考えていたら、いつの間にか眠っていた。
ふと、部屋の呼び鈴で目を覚ます。
あ、もうご飯?
「はい?」
と扉を開けたら、準也が立っていた。
「おっはよー!さおり!」
「な、なんでここに?てかだめだよ!来たら!」
「大丈夫!みんなご飯食べてるしー!俺は、さおりにご飯ですよーのアイズしに来たパシリだよ!」
「もー、パシリなんかして、楽しいの?」
「さおりといたら楽しいよ?」
「…もう、中入ってよ。さおりさおりって!だめ!」
仕方なく中に招いた。
「うわーい!すごっ!いい部屋!俺もここ泊まりたいなー」
「だめですー、バカなの?」
「バカじゃないよ?」
「ねーなんでこんな仕事受けてんの?」
「長山、さんに頼まれたから?」
今ちょっと呼び捨てにしようとしなかった?準也ったら馴れ馴れしいからなぁ。
「で?私の撮影って知ってた?」
「もちろーん!」
「なんで言わないの?」
「サプライズ!」
「なにそれ、意地悪じゃん!つまんない撮影だろーと思って手を抜こうと思ってたのにな」
「だめだよ~!すっごいかわいいの撮ろうよ!ね?」
「…私かわいくないし」
「なに言ってんの?めちゃくちゃかわいいよ?俺の彼女だしね!」
「はいはい。お食事でもとろうかな。小間使いの準也さん」
「はーい!」
「じゃあさっさと行くよ」
「うん。さおり、すっごいいい写真集作ろう!」
「そんなの当たり前だし」
準也に期待されてるし、真面目に働かないとな。
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