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「社長、お久しぶりです」
久しぶりに社長がうちのモデル事務所にやって来た。ので、ちゃんと挨拶をしておかないと後が怖い…と聞いたことがある。
「ミナキ、座りなさい」
かしこまって話するのは、緊張するなぁ。
「あのぉ、社長…この間、写真を女優さんの子と撮ったんですけど」
「あら残念ね。嫁が泣くわ」
「…でも写真は普段皆さん撮りますよね?それが新聞とかに載せられてたみたいで。困りました」
「あら可哀想。そうやってお人好しのミナキにつけ込む女が多いのよ。あれほど気をつけろって言ってたのにね」
「そう、なんですけど…」
「あしらえばいいのよ、そんなの。全く、これだからメディアで騒がれるんでしょ?でもね、ミナキ。仕事してるときの顔と変装してるときしか写ってないのよ。なんでかというと、普段はまぬけな顔してるからよ」
「えーひどいなぁ」
「仕事の写真からだと、こーんなふぬけた人には見えないものね」
そう、なの?
自分ではよくわからないや。
「そんなふぬけミナキを、大好きな嫁はどう見てるのかしら?腹立ててる?それともご自由にって?」
「きっと、怒ってます。いつも電話で謝ってるけど…」
「そう、ミナキって意外と大人よね。冷静だもの。嫁が冷静じゃないものね~」
「ふみちゃんは、俺のことを愛してると思いますか?」
「さぁね。別れてもまだ連絡とってるってことは、まだミナキが気になってるってことじゃない?」
「でも娘からの連絡なんで。それに、嫁と話す時間は短いです。切られてしまって…」
あぁ、社長にこんなにもくだらない相談をしてしまっている。社長は忙しい中ここに来ているというのに。
「あ、すみません。無駄話ばかりで…」
「全くその通りよ。ビジネスの話をしましょう」
「は、はい」
社長のように、キリッとしないと!
ふみちゃんに見られても恥ずかしくないような…ね?
「ミナキ、話はここまで。私は帰るから」
「はい、ええっと、次はどこに?」
「さぁね。自家用ジェットでどこにでも行くし」
「わぁ、便利~」
「お疲れミナキ。無理しないように」
「はい、社長」
あぁ、社長ってすごいなぁ。
「ミナキ、もう話終わりなんだけど。仕事戻りなさい」
「あ、まだ社長室だった…!」
「相変わらず寝ぼけたこと言ってるわね」
社長は寝ぼけたことないのかな?
すごいなぁ…
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