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今日は社長のやって来る日。
いろんな会社を経営していて謎だらけな社長。玄関に出迎えに行き、社長室でカメラマンたちは話しを聞かねばならない。
「お疲れ様です」
「あら?小暮くんは太った?」
「社長!これは筋肉で!」
「小暮さんはすぐ太るんですよね。身長もないから見た目ヤバイですよね」
「おい、萩原!」
「萩原くんも小暮さんも、社長の前でみっともないですよ」
「はい…」
二人して反省する。まだまだ若いです。
「さて、ビジネスの話でもしようか。長山、白河は相変わらずマイペースで遅刻が多いのかしら?」
社長は仕事の書類を見ながら話す。
「はい、彼女は仕事は早いのにやはり時間にはルーズです」
「長山の担当するモデルはルーズなやつ多いもんね。白河は無断欠勤は減ったみたいだけど、遅刻野郎なわけね。ここは長山がなんとか声かけするしかないね」
「…はい」
「小暮は、ジャムがちゃーんと期日までに撮影終わらせてていいじゃない。下津もやる気あるみたいだしね」
「はい」
「下津の写真集とかまた出せば?」
「いや、無理です」
小暮さんは下津さんと付き合ってたらしい。そのときは写真集出せるほど下津さんの表情とかもよかった…らしい。
「そ、まぁいいけど。美空はめいが最近いいじゃない。ゆきなも徐々にって感じ?」
「はい」
「で、萩原は…まなは学業と両立できてるみたいね」
「まあ。ぼちぼちですけど」
「よろしい。じゃ、話はここまで。美空は残りなさい」
「はい…」
なんの話だろう?
1人取り残されてしまった。
「まぁ、座りなさい」
「はい」
ソファーに腰掛ける。不安だ。
「翼、トムは最近日焼けしすぎよ。なんとかしてよ。カメラマンはもう話しを聞いてないトムにくたくたよ。ミナキも大変みたいね。メイクしても白くなんないし~」
「すみません。散々言ってるんですけど。トムはすぐ農作業なんかしてるやつなんで」
「ジャムはちゃんとしてるのにね。せっかく仕事もらっても減っちゃうわ。トムは大学行ってから変わったわね。太った?翼に似てすらっとして人気あったのにねぇ」
「…すみません」
大学には行かせてしまったのがまずかったか?しかし、学歴は重要だ。メンズモデルで長く働けるわけがないのだから。
「そうそう、翼。ジャムのことだけど、彼氏いたよね?あれとは結婚するとか言い出さないわよね?」
「おそらくないでしょう」
「翼みたいにいきなり辞めてもらっちゃ困るのよ。かけおち的なね」
「…それはしないでしょう」
「ふーん、そうなの」
社長はつまらなそうにした。問題でも起こして欲しいのだろうか。自分のときはなんとかつくろってもらったけれど…。
社長はなにを考えているのだろうか。
「話は終わり。もう帰っていいわよ?」
「はい。社長はこのあとアメリカでしょうか?」
「いいえ。娘の舞台見に行くのよ」
「あぁ、演劇をしているという?」
「そうよ。自慢の娘なのよ」
社長の娘って、いったい誰なんだ。
素人なのだろうか?それともプロなのだろうか?
わからないことだらけだ。
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