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次の日、新聞にはこんな記事が掲載された。
「モデル白河さおり、NYモデルjunyaと熱愛」
記事の内容はこのようなものだった。
彼らの出会いは、junyaが人知れず沖縄に留学していたときだ。琉球大学在学中に白河さんに声をかけてモデルにスカウトし、自身がカメラマンをしていた沖縄のモデル事務所で一緒に働いていた。ということは、白河さんが東京に上京する以前からの付き合いということになる。長い間極秘に付き合っていたようだが、junyaは身近な人に長く付き合っている人といずれは結婚したいと話していたそうだ。
調べたところ、白河さんで間違いないとjunya本人も認めたということだ。以下略
長山は、この記事を読み唖然とした。しかし、通勤途中に新聞を読んだためそのまま仕事場へと向かってしまった。
「これは…」
「長山さん、おはようございます!なんですかねーあの人だかり」
事務所前は、大勢の報道陣が待ち構えていた。カメラマンだから顔も知られてないため、誰も寄っては来なかったが…。近寄りがたい雰囲気がある。
「萩原くん、君は今朝の新聞を読んでいないのかい?」
「え、はい。もしかして、これは俺のスカウト?とかですか?」
「あり得ないだろう」
「でも、もしかしたら。グルメ系の写真コンテストとか応募したりしてるんで、それかもですよ?」
萩原は、自分のことだと思っている。
「あれ、なんかあったんすか?」
のこのことやってきたのは、カメラマンの小暮だ。
「小暮くん、君も新聞を読まないのか」
「は?」
「小暮さん、あの人たちは萩原をスカウトしにきたかもしれないですよ?すごくないですか?」
「は?まじ?」
2人のやりとりを聞いて、長山はぐったりとした。あれはどう見ても報道陣だろう。スカウトなはずがない。
「私は帰る」
「え、長山さん?」
小暮に呼ばれたが、帰ると長山は決心した。ちょうど仕事は終わっていて、カメラの掃除等をしようとしていたが別に今日じゃなくてもいい。もし、準也のことがよく調べられていたとしたら、いろいろ聞かれるに違いない。何も聞かれたくもない。
「長山さん、今日仕事なかったんですかね?」
「知らねーよ」
「じゃ、いきますか。スカウトかもしれないですから」
「は、どうだか」
何も考えていない2人は、報道陣のいる入り口へと向かった。
「すいませーん。通ります」
大声で萩原は叫んだ。すると、前にいた小暮は報道陣に捕まった。
「あの、白河さおりさんの事務所の関係者の方ですか?」
「え?白河さん?あー、俺はカメラマンの小暮有太ですけど?」
カメラ目線になり、自分を紹介する小暮。
「あ、聞いたことある!あなたは白河さんを撮っているんですか?」
「ん?え、それはちょっと違いますけど」
「なんだ」
「え?」
そのまま小暮は無視された。そして萩原が囲まれて、同じ質問をされていたが、同じような反応をされた。
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