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さおりはTVを見て驚いた。なんなの?これは。
慌てて準也に電話するが、全然出ない。
今日ここに来るって行ってたけど、やばいって。もし、ここが知られてたら。
大変なことになるじゃん!
ピンポーン
チャイムが鳴り、心臓がドクドクと鳴った気がした。報道の人がたくさん来てたらどうしよう。
「…どちらさま?」
「さおりー!準也だよー」
「…準也、入って」
なんて脳天気なんだろう。何も考えなさすぎ。
ドアを開けて、部屋に招き入れる。
「ねぇ、TV見たんだけど…」
「うん!社長に頼んで記事にしてもらったよん!」
「は?」
「えへへ」
「な、なんでそんなことしたの?」
「ふふー!はいこれ新聞!」
準也から英語の書いてある新聞を受け取った。
「さおりとのこと、みんなに知って欲しかった。そしたらなーんにも隠すことないでしょう?これで、モデルのみんなとも仲良くできるよー!隠し事ないし!」
「…」
「あれ?さおり?」
新聞を見つめた。英語、難しい。
「準也は、お節介だ」
「え?」
お節介の意味が分かっていないようだ。
「あ、新聞読んだ?大学のことまで書いてあるんだよー」
「これ?琉球って書いてある気がする」
「うん、そーでーす。日本の記事にもちゃーんと書いてあるよ。社長にお願いしたから」
日本の新聞も持っていたらしく、バックから取り出した。
「えーっとうーん、なんかプレイボーイ準也って書いてあるね」
「他読めないの?かして」
出会ったときからの経歴まで書いてある。こんなに丁寧に。
「漢字苦手だー」
「ふーん、プレイボーイだって」
「それは友達に頼まれて写真撮らせてあげてたのにー」
「で、これには結婚したいって書いてあるんだけど、本当?」
「うん、本当。さおりは俺と同じ古屋になるんだよ。一緒に住みたいな?さおりはどう?」
「でも、準也は忙しいでしょ?」
「うーん、モデルの仕事は忙しいけど続けたいしー。さおりも続けるしー。さおりがアメリカに住むのも無理だしー」
「私、モデル辞めたい」
「えーもったいないよ?」
「私はもう…沖縄に帰りたい!」
初めて、本音が出てしまった。
「でもさーモデル辞めるのはだめ。沖縄に住んでさ、そっちの事務所でモデルしたらいいよ。俺はそこの専属のカメラマンだしぃー!」
「それって、すぐにでも結婚してくれるってこと?」
「うん、嫌かな?社長はいいって言ってたよ」
「ほんと?」
「沖縄で、一緒に住もう?」
「うん」
自分からは決して言えないことを、準也はなんの考えなしに言う。そこが、彼のいいところ。
「じゃあ、社長とおじさんに報告しないとね」
「長山さん、怒るかも…」
「親戚になるんだからいいじゃん!ね?」
「…なんか微妙」
「社長はこっちいないから、まずはおじさんの家に行こう!」
「えー家知ってるの?みんな知らないのに?」
「だから、親戚なんですー。おじさん喜ぶかなー」
「言いにくい…私けっこう長山さんにひどいこと言ってたし、わがままし放題だったし」
「大丈夫。準也が選んだんだから間違いないって言ってたよ」
初めて、長山さんに申し訳ないと思った。準也の勧めでモデルになった私を有名にしてくれた。準也の親戚っていうのを隠して、私と一緒に活動してくれた。
「さーって、行くよー」
「ちょっと、ちゃんと変装しないと!」
「えーさおりったら偉い」
「準也って目立つんだから!」
「えーそう?」
私は不器用だけど、そんな私を愛してくれる準也のことが
大好き。
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