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「パーティだし、舞台で演奏しちゃおーっと!」
「あ、準也!」
さっさと私を残してどこか行ってしまった。
「あの、準也さんはしっかりしてないですから、ご自分で仕事のことは相談されたほうがよろしいかと…」
「えっと、あのー、お嬢さん」
「え、私?」
「私はね~しっかりしなさすぎだよー?準也のほうがよっぽどしっかりしてる」
「え?そうなんですか?」
とても驚かれた。世間的にはしっかり者に見えてるのかな?
「さおりー!ウクレレ弾くから!」
舞台から叫ぶ準也。あんなのよりしっかりしてない私だよー
「派留、舞台の前いこ~よ!白河さんも」
「ちょっと!今話してる途中なんだけど!」
「二人で行っておいで。私はここからでいいよ」
「だって!派留いこ?」
「すみません、失礼しました」
二人はかわいらしく舞台へとかけて行った。かわいい子と親戚になれちゃったよ!
「白河さん、式の前に話したことは理解できましたか?」
いつの間にやら隣には美空翼さんが。
「え、あ、ジャムちゃん?え、娘なんですか?」
「そうですよ」
「な、なんで隠してたんですか?」
「隠してませんよ」
「…準也とも知り合いとか聞いてません」
「それは失礼しました。準也も言っていなかったみたいですね」
「翼さんは、私と準也のことも知ってたんですよね…長山さんも知ってたし…知られすぎてました」
「そうです。田中さんも知ってますよ」
「あー、それ。ミナキってあのモデルとかで有名な。物好きもいるって言ってもわざわざ日本に観光したときに射止めるとかあるんですか?」
「いえいえ、田中さんもNYで働いていたんですよ」
「えー、初耳。すごいんですね」
「ミナキとはそのとき出会ってます」
「ってことは翼さんもアメリカに?てゆーかジャムちゃんハーフ!てゆーか妻はアメリカン!?なんですか?」
「はい」
真顔で、はっきりと。
「意外です。それで娘さんかわかんなかったんですよ、きっと」
「ジャムは妻によく似てます」
「世の中知らないことばっかりです」
「そうですね」
「田中さんとはよく話をするけど、そんなこと一言も言ってないです」
「一応離婚してるんです」
「え、昔話でしたか」
「いえ。ミナキは復縁したいそうです」
「そ、それは物好きですね。かわいい女の子と仕事してるのに」
「ミナキは田中さんのために頑張ってるんですよ。彼は彼女のために努力を惜しまない」
「へー。田中さん羨ましいです」
「ですが、なかなか素直になれないんです。田中さんはプライドが高いので」
「なんか、わけありなんですね~」
「さおりー!聴いてた?ね?」
アロハシャツをはだけさせてやってきたのは準也。全く聴いてなかったけど…
「うんうん、聴いてたから。翼さんと話してたの」
「おーう!邪魔しちゃ悪いね!それじゃーミナキんとこいこ~っと」
空気読んでるんだか、なんなのか?
陽気な準也。
こうしてると、不思議な気分になる。
モデルになったのは準也に誘われたからで、
そもそもうちの農家で働くつもりだったのに。
変な感じだなぁ。
準也と出会ってから、私の世界は一変したなぁ。
辛かったけど、経験にはなったと思う。
私をいつでも成長させてくれる準也は、不思議な力があるのかな?
「白河さん?」
「あ、すみません。話の続きお願いします!」
私だけが知らないこと、もっと知りたいもの。
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