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「社長からまだなにも連絡ありませんし、仕事できませんよ?」
小暮さんは春川さんに対しては冷静だ。萩原さんとあんなに揉めてたのが嘘のようだ。
「…まじか!なにしに来たんだか!私ったら!」
「春川さんは今までなにしてたんですか?」
「あたし?楽しい有休休暇を取らせて頂いてたんですけど?ご存知ないのー?」
「春川さん、そんなに働いてましたっけ?」
「おい!萩原」
「しっつれーな!いつからやってると思ってんのよ!小暮くんがまだ小学生くらいのときよ?だからそーとー溜まってんのよ?」
うーん、それにしたって休みすぎだと思うのだけれど…。
「まじですか!それじゃあ相当な熟女ですね」
「あのねぇ!お姉さんでしょ?どう見ても」
「春川さん、あの、今日のところは…」
小暮さんが珍しく仲裁に入る。ほんと珍しいこともあるものだ。長山さんも翼さんもいないからだろうか。
「ったく!ちゃーんと仕事しに来てやったのに!帰る!」
春川さんは謎に星型のサングラスをかけて帰って行った。あれは…変装?なのか?
「あーあ、春川さんとかもういいのに」
「小暮さん、お疲れ様です」
揉めてたのに、なんとなく仲直りしたようだ。
「春川さん萩原にやるよ。あ、そーだ、あの人独身だからどーよ?」
「ありえません。気持ち悪いですよ。それを言うなら小暮はどうなんですか?」
「ありえねー。姉と同世代なんすけど」
「じゃあ長山さんの担当にしてくっつけるのはどうでしょう」
「萩原、やってみれば?俺は知らない」
「ええー!やったら面白いのに。藤原くんは協力して…」
「翼さんに聞いてみて下さい」
「えー、無理」
春川さんの扱い酷いなあ…。
「白河さんいない代わりにさぼりの春川さん来てもなーんにも意味ねーんすけど、社長は何考えてんだ?」
「…さぁ」
社長は恐ろしい。
きっと何か策がある。もしくは、なにも考えていない。
そして翌日…
昨日話してた、社長が会社にやって来た。
「白河さおりのことだけど。沖縄でモデルするからよろしくー」
「え!じゃあモデル続けるんですか?」
小暮さんは驚きを隠せないようだ。完全に辞めたと思ってたから。
「そうよ?junyaは沖縄でカメラマンやってるし」
「ええ!そーなんですか?夫婦で共同作業なんですか!?夫婦で同じ職場ですか!?」
大騒ぎの萩原さん。感情むき出しだ。
「萩原うるさいわよ?んで、白河のこっちで既に受けてた仕事は割り振ります。ジャムは今忙しいから無理だけど、他の子たちでできるでしょう」
「あ、あの、春川がこの間久しぶりに現れたんですけど」
小暮さんは自信なさげに話しだした。確かに春川さんは信用できない。
「あー、春川?下津のブライダル系のを回してやって」
「…春川さん辞めてたんじゃなかったんですか?」
「有休ないのに休みまくってたけど辞てはいないわよ?特に春川だけの仕事もないしそのまま放置してたわけ」
「春川さん歳考えていないですよ!」
「そうかしら?まだいけるんじゃないの?」
社長、ほんとにそう思ってます?
社長との話が終わり、社長室を退散したところ、
「あ!翼さん!」
萩原さんがはつらつとした声を上げた。
「皆さん、ご迷惑をかけてすみません。知人のお祝い等で忙しくしておりました」
「そうだったんですか!長山さんもなぜか休んでたんですけど、あれはさぼりですか?」
「恐らくさぼりですね」
真顔で言う翼さん。怖い。
「ま!まさか!いやぁ、白河さんいないとそうなるんですね。あ、白河さんは沖縄でモデルするらしいですよ?」
「そうなんですね。今から社長室へ行って直接聞きます」
「それがいいですよ」
ほんとは翼さん、なにもかも知っていたんじゃ?と思わずにはいられない。
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