新しいモデル?

2/3
前へ
/32ページ
次へ
「社長からまだなにも連絡ありませんし、仕事できませんよ?」 小暮さんは春川さんに対しては冷静だ。萩原さんとあんなに揉めてたのが嘘のようだ。 「…まじか!なにしに来たんだか!私ったら!」 「春川さんは今までなにしてたんですか?」 「あたし?楽しい有休休暇を取らせて頂いてたんですけど?ご存知ないのー?」 「春川さん、そんなに働いてましたっけ?」 「おい!萩原」 「しっつれーな!いつからやってると思ってんのよ!小暮くんがまだ小学生くらいのときよ?だからそーとー溜まってんのよ?」 うーん、それにしたって休みすぎだと思うのだけれど…。 「まじですか!それじゃあ相当な熟女ですね」 「あのねぇ!お姉さんでしょ?どう見ても」 「春川さん、あの、今日のところは…」 小暮さんが珍しく仲裁に入る。ほんと珍しいこともあるものだ。長山さんも翼さんもいないからだろうか。 「ったく!ちゃーんと仕事しに来てやったのに!帰る!」 春川さんは謎に星型のサングラスをかけて帰って行った。あれは…変装?なのか? 「あーあ、春川さんとかもういいのに」 「小暮さん、お疲れ様です」 揉めてたのに、なんとなく仲直りしたようだ。 「春川さん萩原にやるよ。あ、そーだ、あの人独身だからどーよ?」 「ありえません。気持ち悪いですよ。それを言うなら小暮はどうなんですか?」 「ありえねー。姉と同世代なんすけど」 「じゃあ長山さんの担当にしてくっつけるのはどうでしょう」 「萩原、やってみれば?俺は知らない」 「ええー!やったら面白いのに。藤原くんは協力して…」 「翼さんに聞いてみて下さい」 「えー、無理」 春川さんの扱い酷いなあ…。 「白河さんいない代わりにさぼりの春川さん来てもなーんにも意味ねーんすけど、社長は何考えてんだ?」 「…さぁ」 社長は恐ろしい。 きっと何か策がある。もしくは、なにも考えていない。 そして翌日… 昨日話してた、社長が会社にやって来た。 「白河さおりのことだけど。沖縄でモデルするからよろしくー」 「え!じゃあモデル続けるんですか?」 小暮さんは驚きを隠せないようだ。完全に辞めたと思ってたから。 「そうよ?junyaは沖縄でカメラマンやってるし」 「ええ!そーなんですか?夫婦で共同作業なんですか!?夫婦で同じ職場ですか!?」 大騒ぎの萩原さん。感情むき出しだ。 「萩原うるさいわよ?んで、白河のこっちで既に受けてた仕事は割り振ります。ジャムは今忙しいから無理だけど、他の子たちでできるでしょう」 「あ、あの、春川がこの間久しぶりに現れたんですけど」 小暮さんは自信なさげに話しだした。確かに春川さんは信用できない。 「あー、春川?下津のブライダル系のを回してやって」 「…春川さん辞めてたんじゃなかったんですか?」 「有休ないのに休みまくってたけど辞てはいないわよ?特に春川だけの仕事もないしそのまま放置してたわけ」 「春川さん歳考えていないですよ!」 「そうかしら?まだいけるんじゃないの?」 社長、ほんとにそう思ってます? 社長との話が終わり、社長室を退散したところ、 「あ!翼さん!」 萩原さんがはつらつとした声を上げた。 「皆さん、ご迷惑をかけてすみません。知人のお祝い等で忙しくしておりました」 「そうだったんですか!長山さんもなぜか休んでたんですけど、あれはさぼりですか?」 「恐らくさぼりですね」 真顔で言う翼さん。怖い。 「ま!まさか!いやぁ、白河さんいないとそうなるんですね。あ、白河さんは沖縄でモデルするらしいですよ?」 「そうなんですね。今から社長室へ行って直接聞きます」 「それがいいですよ」 ほんとは翼さん、なにもかも知っていたんじゃ?と思わずにはいられない。
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加