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学食巡り
大学での授業が終わり、のほほんとしながら帰るとき、俺は見てしまった。
サングラスにオシャレな格好。
大学にはこんな人いないよな?って人。
そして、たくさんの人から注目されてる。
紛れもない。この人は…
「あーー!匡み~っけた!」
親戚の準也お兄ちゃんである。あちらから気づいた。
「元気?遊びに来たよ!」
「うん…そんなことより、うちに行こうか…」
「え~?なんで?」
こんなに注目されていたら、モデル準也とばれて騒動になってしまう。
そうなる前に、うちへと連れ帰った。
「ただいま、あ!派留おかえりー」
既に嫁の派留美は家に帰っていた。今日は仕事だったから大学には来てなかったんだった。
「匡、その人は?」
居間にサングラスをした準也お兄ちゃんを連れて来たところ、怪しまれた。
「誰でしょー?当ててー?わかるかなー?」
準也お兄ちゃんは軽い口調で話す。
「匡の親戚のお兄さん、準也さんですよね?」
「わーお!すごい!さっすがー!大当たり!」
「匡にはこんなチャラい知り合い他にいませんしね」
「えー意地悪言ってる?」
「言ってません」
派留の機嫌がだんだん悪くなってきたよ。
「まーいいや。遊びに来たんだー!さおりに会いに!」
「え?珍しいね。いつも沖縄で会うのに」
「ふふん!匡~これは秘密なんだよねー」
「へー、なんか誕生日とかなの?」
「違うよ!匡の家にも行ってみたかったしーさおりにも会いたかったしー?」
「それ、うちに行くついでみたいになってますけど?白河さんメインじゃないんですか?」
鋭いツッコミを入れる派留。機嫌がまだ悪い。
「あ、そうそう。大学の学食に行きたいよ!」
「ちょ、匡!お兄さん話聞いてないし」
あーあ、普通に怒り出しちゃったよう。
「ま、まぁまぁ…で?彼女のとこにはいつ行くの?」
「んー、別にいつでも?2日はいるしー?」
「そうかそうか~」
うーん、マイペースだ…。
「あの、お兄さん。あなたまず彼女のところに行くべきでは?うちじゃなくて。順番間違えてますけど?」
「わ~厳しいねぇ」
「派留は心配してるんだよ?ね?」
「うるさい!もう、さっさと2人で学食行けば?」
あーあ。派留さんのご機嫌取ろうとしたら失敗…。
「それじゃあ匡行こうか!」
準也お兄ちゃん、マイペースすぎる。
再び大学へ2人で戻る。
今度はキャップをかぶらせて、サングラス。
しかし、すれ違う人たちはなんだか気になる様子。
オーラが出てるのか?
「ねぇー匡!いろんな学食あるんでしょ?食べたい!」
「誰からの情報?」
「ふふーん!沖縄モデルの大学生が言ってたー」
なぜか得意げである。
「へー。まぁ、TVでも言ってたからね」
「おおー!ますます楽しみだよ匡!」
「でも、俺はお金ないから」
「そーんなの払ってあげるから!ね?どこ行くー?」
「じゃあ、フレンチかな」
ちなみにまだ行ったことはない。なぜなら高いから。派留はお金あるのに、安いとこに行くし。お嬢様なのにけなげ。
準也お兄ちゃんと大学の学食をあちこちして、お腹いっぱいになった。ちなみに俺は少食なので、分けてもらう程度で満腹。
「さーって!帰ろうか匡!」
「え?彼女のとこは?」
「んー、明日でもいっかー。匡のうちに泊めてよー」
「それは無理。派留が怒るよ。もう既に怒ってるのに」
「うっそー?いつもあんな顔じゃないのー?」
これをもし本人に言ってたら…殴られるだろうな。
「まぁ、だいたいそうだけど。違うんだな、これが」
「そーかそーか!じゃ、さおりのとこ行こーっと!」
もともとそれが目的じゃないのかなぁ?
「じゃーまた遊びに行くから!匡、元気でね」
「うん」
「あ、帽子返すよ~あとこれもね」
帽子取ってサングラスも…?
「いや、これは準也お兄ちゃんの…」
はっ!視線が熱い。
あ、サングラスはずしてるよ!
「あの人ってもしかして?」
「え、あのモデルの?」
「えー?でも外国にいるはずでしょ?」
まずいことになりそう。
なので、サングラスも帽子も装着させた。
「あげるから、さっさと行ってよ」
「えー?匡のいじわるー」
「うんうん。じゃあまっすぐ寄り道しないで行くんだよー」
「OK!」
え、なんで英語?
そうか、普段は英語なのか。
去って行く準也お兄ちゃんの歩き方は大変美しかった。うん、これは注目しちゃうよ。
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