学食巡り

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いつものホテルに帰って来たところ、誰か怪しい人がドアの前に。 なんなの? セールスマン? マジ勘弁。 「あー!!さーおーり!」 げ、この能天気な声は。 「準也でしょ。なにしてんの?」 「秘密で会いに来た!」 「あっそー。なにが秘密よ」 「匡のお家に行って来たよー!」 「え?誰それ?」 「まぁまぁ、さおり、部屋で話そうよ」 なんとなく準也を招き入れてしまった。これじゃ悪徳商法とかひっかかるしー しょうがないからソファーに座らせた。私も隣に座る。 「…仕事は?」 「休みー。明日帰るよ」 「ふーん。でー?匡って何?誰よ」 「親戚ー。東京にいるよー」 「で?わざわざなんで来たの?」 「休みだったしー、匡の家に行ってみたかったしー、さおりにも会いたかったしー」 「私はついで?」 「そんなことないよ!さおりはーうーんと、当たり前?なんだろう、うーんと普通?」 「は?意味わかんない」 「だからー、さおりと会うのは普通?なのかな?」 「なにそれ?今まで東京来てなかったじゃん」 「んー、匡がどんな生活してるのかなーって思ったし、結婚したからどうなってるのかなーって知りたかったしー」 「なんかよくわかんないけど、親戚に優しいわけね」 「さおりと結婚したらどうなるかなって想像したかったしね?へへ!」 「はー?なにそれ?」 「まぁ、匡は幸せだったよー、うん。憧れるね!」 「全く話についてけないんですけど?」 「さおりー、明日は暇?」 「…親戚の話もういいんかい。暇じゃない」 「じゃ、撮影見に行く」 「だめ。来たら許さない」 「けちー」 「匡とやらと東京観光でもして帰れば?」 「うーん、大学の学食は行ったんだけどねー」 「なんでそんなことしてんの?つまんなそー」 「それがさー!みとちゃんとはるちゃんがさー匡の大学の学食うまいらしいって言っててさー」 「つまりー、準也は学食食べたくてこっちに来たわけだ」 「ん?あー!そうかもー!」 「私は学食のついでのついで?そーいうこと?ひどくない?」 「もー、そんな怒んないでよー」 「ったく、なにしに来たんだか!」 それでも、久しぶりに匡と話せて喜んでる私。 嫌になる。 このなにも考えず思い立ったらすぐに実行する行動力。…羨ましいな。 翌日 「あっれー?明人(あきひと)おじさん?」 町を歩いていると、見慣れた人が声をかけてきた。 甥っ子の準也ではないか。 「仕事か?」 「えー?違うよー!遊び遊び!」 「そうか」 「さおりとも会ったよー!でもさー仕事には来ちゃだめってさ!おじさんもなんとか言ってよー」 「私は…親戚とはまだ知られたくないんだ。白河くんは私のことは嫌いだからね」 「んー俺が結婚したらばれるからそのときだね!」 「すごい自信だな」 「まーね!さおり好きだしー」 はは、さすがハワイ育ち。日本人なのに、大学生のときしか日本にいなかったからな。 「匡とー大学の学食めっちゃ食った!」 「ほう。あの子と」 痩せすぎが心配な甥っ子。 「あー俺もさおりとイチャイチャしたいよー」 「そうか」 私にもし子供がいたら…どんな子になるのだろう。
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