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第1話 カエルの王子様と現代のお姫様
皐月の風が薔薇の香りを運ぶこの季節、16歳を迎えた姫様は、城の庭でお気に入りの金色のボールを空高く投げてはそのキラキラと光る様をうっとりと眺めていました。
姫様のウエーブのかかった金色の髪も日を光りを受けキラキラと輝き、その様子はまるで1枚のお伽話のワンシーンを抜き取ったかのよう。
「マジ、ピカピカで綺麗〜」
……彼女は整った顔を破顔させ、ニヤニヤと悦り出しました。
"お姫様と言えば淑やかな者"と言った時代は過ぎ去り、人前では澄ましている彼女たちも1人になればただの人。16歳の彼女は日本にいる普通の女子高生と何ら変わらないのです。
「綺麗な物、大好き!ウエルカム!」
目を輝かせ落ちてくるボールを全力でキャッチし、ニヨニヨ
……普通の女子高生とは言い難いかも知れません。
「げっ!」
もう一度投げた際、手が滑ってボールは井戸へと落ちてしまいました。
「マジで?!」
井戸は仄暗く、底に僅かに光り輝くモノが見える程度で到底手なんて届きません。
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