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僕は現在アルバイトだけで生計をたてている。22歳にもなるため定職に就いているのが当たり前なので恥かしいことだ。誰にともなく「すみません」と謝りたくなる。今やっている仕事はハッキリ言ってしょうもない仕事だ。駅の前のドラッグストアで9時から大体7時くらいまでレジをしたり商品を陳列したり、本当につまらない仕事だが食べていくために仕方ない。本当は薬剤師になりたかった。しかし大学を途中で辞めてしまっているのだ。何故かというとお父さんが病気で他界したからである。お母さんだけでは僕とお兄ちゃんの学費が払えなかった。
僕は朝の通勤時間を狙ってお尻観察をする。こう書くと変態みたいだが誰しも好きな身体の部分はあると思う。大きな潤んだ目だったり高い形のいい鼻だったり、埋もれてみたいような胸だったり。僕はそれがお尻なんだと思う。ハートの形をした大きな桃。見とれていると時間の経過を忘れてしまう。
「あの、君、ちょっといいかな」
警察官が話し掛けてきた。
「ええ」
「身分を証明するもの持ってる?」
職務質問だろうか。僕は怪しいのかな。まあ、朝からずっと女の子のお尻を見ているのだから当然か。
「免許証ならありますけど」
僕はショルダーバッグの中から財布を取り出す。書き換えをしたばかりの免許証をカード入れから抜きだして渡した。
「ここで何してるの?」
「いや、座ってるだけです」
「仕事は?」
「9時からそこのドラッグストアに行きますよ」
「まだ2時間もあるじゃないか」
そうだ。だってこれが趣味なのだから。お尻を見ていて捕まった人なんて聞いたことがない。
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