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大学の頃に付き合った彼女はよく料理を作ってくれたのを思い出す。面映ゆい思い出にまた心を馳せる。彼女は料理を学校にも持って来たし家にもよく作りに来てくれた。プチトマトのサラダが付いたお弁当とか野菜サンドウィッチをお昼にしてくれたな。夜も肉の野菜炒めやアボガドと卵がたっぷり入ったツナのサラダやゴーヤチャンプルなど健康にいいものを作りに僕のワンルームのマンションに来てくれたっけ。思い出すと唾液が溢れる。名前はさよりちゃんだ。さよりちゃんは僕の理想のお尻に近かった。細いウエストの2倍はあるんじゃないかという大きさを誇っていて歩くとプリプリ揺れた。
あれはさよりちゃんと海外のアーティストのコンサートに行った時だった。僕もさよりちゃんもビールを飲みながらのりにのってコンサートを楽しんでから電車で帰路を共にしていた。
「ねえ、大宮駅から歩いてラブホテルに行こうよ」
さよりちゃんは自分から誘ってきた。
「いいけど、この時間だと泊まりになっちゃうよ」
僕は一人暮らしだがさよりちゃんは自宅に住んでいる。親が心配するだろう。
「泊まりでも構わないよー。今日は聖夜くんと一緒だって言ってあるもん」
そうか。でも僕は酔ってるしハッキリ言って出来るかな。そう思いながらも駅の近くの近代的なラブホテルに入った。ホテルの部屋はシックで木目調の壁にピカソが描いたような絵が飾られていた。メニューを見るとウエルカムドリンクが無料と出ていた。
「僕、だいぶ飲んだからコーラを貰おうかな」
「私は緊張してるからビール」
さよりちゃんはベッドの枕の上にあった電話で飲み物を注文した。静かな有線が流れる。
「テレビでも観ようか」
リモコンのボタンを押すと操作ミスでアダルトチャンネルが流れた。温泉場で40代くらいのおばさんが身体を流している。男性が後ろから胸を鷲掴みにして「いいだろう、いいだろう」と言っていた。
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