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「おじいちゃん!」
「おお、待っとったぞ! 花音!
居間に行くと、おじいちゃんは満面に笑みで手招きしながら言った。
「おや! 大垣のところの若造と一緒に来るとは……名前を聞いたとき、もしやとは思ったんじゃが……ほお~」
おじいちゃんが驚いたようなに目を丸くしたが、それでいて、もう分かっているような表情をした。
「ご無沙汰しております。その後、お変わりありませんか!」
「元気なもんじゃ! それで今日は何の用で来たんじゃ?」
おじいちゃんは目を輝かせて聞いてきた。古城の口から聞きたいようだ。
「結婚の報告に参りました」
「結婚~!?」
おじいちゃんが眉をしかめた。
「はい」
古城が静かに答える。
「花音とか?」
おじいちゃんは考え込んだように腕を組んだ。花音はおじいちゃんの意外な反応に慌てた。
おじいちゃんなら、手放しで喜んでくれると思ったからだ。
どうしようかと悩んで頭をぐるぐる悩ませていると、先におじいちゃんが話し掛けてきた。
「報告? まずは、許しを得るの間違いではないのか?」
「お許しいただけますか?」
古城はニコっと笑った。
「わしに勝ったらな」
おじいちゃんはフンッと鼻息荒く答えた。
「では、ひと勝負しましょう。何をしましょうか?」
「ふむ。何が良いかのぉ……。やっぱり囲碁かのぉ……」
おじいちゃんは考え込んでいる。花音はハラハラした。古城のことは信じているが、おじいちゃんはとっても囲碁が強いのだ。
「何でも構いませんよ」
古城は余裕の笑みだ。
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