第5章

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おじいちゃんは古城に向き直り、 「花音の事、頼むぞ。わしの一番の宝物だからな」 「私にとっても宝です。大切にします。では、失礼いたします。閣下」 「ああ、待て待て、これからはお前とは家族になるんだ。閣下ではなく爺さんと呼びなさい。堅苦しくていかん」 古城は困ったようにあいまいに笑って頭を下げたが、 顔を上げるとはっきりと言った。 「では、行ってきます。爺ちゃん」 おじいちゃんは満足そうに、うんうんと頷いて言った。 「それから、わしの車で行くと良い」 「タクシーを待たせていますので、大丈夫です。では」 彼は丁寧に礼をした。 おじいちゃんの顔を見ると、なんとも寂しそううな顔をしている。 「お爺ちゃん。また来ますね」 花音が元気良く手を振ると、満面の笑みで振り返してきた。
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