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部屋を出た後、
「おじいちゃんとあんまり仲がいいのでビックリしました」
「ああ、囲碁仲間だからかな」
「よくお相手してたんですか?」
「そうだね」
「さっき、おじいちゃん、囲碁をしたそうだったのに、やめましたね。少し意外でした」
「あはっ、君のお爺さんと僕は、いわゆる碁敵きなんだ」
「すごい! おじいちゃんはとっても強いんですよ。パパはいつも負けてばかりで、おじいちゃんがつまらないと言ってましたもの」
「初めて、相手をしたときは、大垣会長が負けるように言ったから。負けたんだけど、わざと負けたことを見抜かれてしまって 、バレたの初めてだったから驚いたね」
「それから?」
花音は続きが気になった。
「で、それからは真剣に勝負したよ。でも、負けたら煩いし、勝ったら勝ったで偉そうにするから、それも大変で」
「どちらが、たくさん勝ちましたか?」
「どっちと思う?」
「きっと、古城さんですね!」
「うん! それがお気に召さなくて、あの通り、いつも絡んでくるんだよ」
花音は彼の話が可笑しくって、声を出して笑ってしまった。そして花音の知らない祖父の一面を見て、ほのぼのした気持ちになるのだった。
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