93人が本棚に入れています
本棚に追加
花音の様子を見て、安心したようにうなずいた母は、緊張した面持ちで言った。
「そう。じゃあ行ってきなさい。ママは病室の外で待ってるから」
「はい」
「お心遣い有り難うございます。私も参ります」
そばで見つめていた古城が、二人に応えるように言った。
「ママ、行ってきます」
病室を出ると、古城が心配そうに声をかけてきた。
「大丈夫?」
古城が心配して言うと、少し緊張した顔で花音が古城を見上げた。これから、あの薬物中毒者と会うのだから無理もない。もう、離婚届には了解してもらっている。後は古城の母に書いて貰えば成立する。そうなれば、あの地獄のような生活から解放されるのだ。
そう思うと、花音の心はウキウキしてくるのだった。
「はい! 大丈夫です。ごめんなさい差し出がましい事をして」
「ううん。感謝してるよ。君には有難いと思っている」
古城の言葉に花音は嬉しそうに、にっこりと笑った。
最初のコメントを投稿しよう!